あまり知られていませんが、体育は高校の教育課程において「必ず受けねばならない科目:必履修科目」に位置付けられています。事例では、小学校以降ずっと「体育は出ない」という学校生活を送っていましたが、高校卒業に必要な科目が履修できないという事態が生じています。事例の高校はかなり配慮(見学でもOK)してくれていますが、さすがに見学もしないのに出席扱いにすることは難しいでしょうね。

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それは女子生徒が葛藤しつつ決めていくこと、スクールカウンセラーの役割は…

 私が言いたいのは、女子生徒に「体育に出なさいと伝えるべきだ」ということではありません。必要なのは、少なくとも受験を考える時期に「体育に出ない」というスタンスに言及し、高校における体育という科目の立ち位置、すなわち、出ないと卒業できないという「現実」について話し合うことだと考えられます。この現実を前に、女子生徒が「体育に出ない」というスタンスを変えるか、現在のスタンスでも何とかなりそうな高校を志望し直すか、それは女子生徒が葛藤しつつ決めていくことです。スクールカウンセラーの役割は、現実を前にして生じた葛藤に寄り添いつつ女子生徒の決断を支えることでしょう。

 子どもたちの未来に「現在のスタンス」では噛み合わない現実が控えているのであれば、その現実を前にした子どもの葛藤を支え、成長を促していくことが責任感のある大人の振る舞いです。「今のままでいいよ」という言葉を発するのは簡単ですが、その人が単に「未来を見据えられていない」だけなら、その言葉にどれほどの価値があるでしょうか。また、子どもが現実と向き合う葛藤が生じないように先送りしているだけなら、それは「大人としての責任感が欠けている」と言えるのではないでしょうか。

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