いじめ、不登校、家庭内のトラブル。子どもたちの複雑な心の問題に向き合う「スクールカウンセラー」。学校現場になくてはならない専門家だが、彼らの労働環境は極めて不安定である。
子どもの心を守る専門家たちは、自らの生活の不安とどう向き合っているのか。ここでは、スクールカウンセラー、いじめ第三者委員会等を務める藪下遊氏の『スクールカウンセラーは何を見ているのか』(ちくまプリマー新書)の一部を抜粋。知られざるスクールカウンセラーの生活事情を紹介する。
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スクールカウンセラーは非正規雇用
スクールカウンセラーという仕事は、基本的に非正規雇用になります。意外かもしれませんが、常勤でスクールカウンセラーの職があるのはごくわずかな地域と私立学校だけで、全体の割合としては低いです。
非正規雇用なので、労働条件もそれに準じたものになります。たとえば、スクールカウンセラーは基本的に単年契約であり、来年度の仕事が前年度の後半(12~2月くらい)に決まるのが一般的です。仕事が決まる時期としては、相当遅いと言えます。スクールカウンセラーの仕事を期待していたけれど年度末に不採用だった、ということになったら次年度の収入が百万単位で変わることだってあるのです。
また、一度採用されれば安心というわけではなく、「来年度は契約しない」ということも起こり得ます。いわゆる「派遣切り」と同じような状態が考えられるわけです。本来、カウンセリングでは継続性が重要ですから、急に不採用になりスクールカウンセラーが変わることで、子どもたちや学校の混乱も招く恐れがあります。
また、採用が決まったとしても、来年度に「どの学校を担当するか」「年間の勤務時間数はどのくらいか」ということは年度末にならないとわかりません。だから、なかなか「来年度の予定や生計の見通しが立てられない」ということも起こってきます。
