怪盗になる銀行員、浴衣に着替えた歯科助手たち
ここからは、8月22日(水)・23日(木)に予選が、24日(金)に決勝が行われた2018年度大会をレポートしてみたい。自分がもしも新宿三井ビルのテナント企業に勤める立場だったらと仮構し、妄想を繰り広げてほしい。いくらでも萌えられるし、燃えられるだろう。
いつもグランデなりショートなりのオーダーを受けてくれるスターバックスの女子店員たちがミニスカ姿でAKB48の「Everyday、カチューシャ」をはつらつと歌い踊る。
いつも無防備状態の自分の口の中をあれこれいじっている白衣の歯科助手たちが浴衣に着替えZONEの「secret base ~君がくれたもの~」をしっとりと歌い上げる。
怪盗三姉妹をヒロインとしたアニメの主題歌「CAT’S EYE」をレオタードに身を包んで熱唱するのは、よりにもよってお金を守る立場の三井住友銀行の行員たち。
最高としか言いようがない。……が、これらのアクトは残念ながら予選落ちしてしまった。それほどまでに、この大会はレベルが高いのである。なので、筆者を含めた熱狂的なのど自慢ヘッズはあらかじめ休暇を取り、3日続けて西新宿に通い詰めている。
「ミスター三井ビルのど自慢」支社長のトレンド対応力
高すぎるハードルを越えて決勝へとたどり着いた猛者たちの中から、筆者が個人的に愛してやまない顔触れを紹介したい。
損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険。こんな無闇に長い社名を、この会社の保険に入っているわけでもない自分がソラで唱えられるようになったこと自体どうかしているが、それがこの祭りの魔法のひとつである。毎年松山千春を歌うこちらの北東京支社長こそ、近年における「ミスター三井ビルのど自慢」と呼ぶべきレジェンド。
純然たる千春の模倣だけで十分すぎるほど本人に迫っているのに、この支社長は、歌の途中から思いもよらぬツイストを加えてくる。一昨年はT.M.Revolutionの「HOT LIMIT」のガムテープ物真似、昨年はアキラ100%のお盆芸と、一肌も二肌も脱いできた。
今年は、ロバート秋山のTシャツ芸をアレンジし、本家なら梅宮辰夫の顔が貼りつけられてあるところに松山千春の顔がある、という形でさすがのトレンド対応力を見せつけた。