ホームレス生活で最も不便なこととは?
「僕は元々オタクで、孤独な生活に慣れています。寂しさを感じることはありません。暇があると、Kindle(電子書籍)で小説を読んだり、スマートフォンでニュースを見たりしています。ホームレスになってから一番不便なことは、トイレに行くことだと思います。毎回100メートル以上離れたところに行かなければなりません」
ほかにも不便なことはある。荒川河川敷に住んでいるホームレスは、休日の賑わいに耐えなければいけない。
橋があり、周辺の運動場には、多くの小中学生が野球の練習をしに来る。子どもたちの叫び声が途切れることなく続き、休んでいるホームレスたちは安らげない。また、彼らの自転車や家族の車が停められている場所は、宇海くんや征一郎さんのテントからそう離れていない。
テントを出たら、子どもたちが自分をどんな目で見るだろう? どう思うのだろうか? 自分の姿を見せるべきではないのだろうか。これは特に新人ホームレスが気にしている問題の1つだと思う。
荒川の河川敷では、毎年数回、さまざまな規模のマラソン大会も開催される。そのたびに多くの参加選手やその家族、ボランティアなどが集まる。大会の主催者も参加者も、現場にホームレスが現れることを望んではいないだろう。ホームレスたち自身も、そのように思い、自分のテントに引きこもるか、早朝のうちにどこか別の場所に逃げてしまうこともある。
客観的に言えば、野球の練習をするにしても、さまざまな大会を開催するにしても、人々はこの公有地を合理的かつ合法的に使用している。一方でここに住んでいるホームレスたちは、この公有地の「不法占有者」とされており、その立場が弱いのは当然だろう。
