私はキリがないので、自分の中で「基幹局」と決めていました。東京、大阪、名古屋、福岡、北海道、広島、宮城。自分が宮城出身なので、なるべく宮城より大きい局がいいなと思っていました。

 それでインターンシップから東京、大阪の局に参加させてもらって、試験も東京、大阪のテレビ局から受けていました。インターンシップから数えると、大阪だけで30万円はかかっていたと思います。

 ただ大阪の局の試験でいいところまでいきながら、落とされてしまって。あんなに人事の方は仲良くしてくれたのに、一瞬で落とされることを経験して、人間不信みたいになっていました。

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ノンコノユメの激走を見て「夢って諦めちゃいけないんだ」と勇気をもらった

――就職試験に落とされると、自分の人間性を否定されたように感じてしまうのでつらいですよね。何が支えになったんですか?

佐藤 競馬です。「もう人間は信じられない」「馬だ!」となって(笑)。たまたまアナウンサー試験がいち段落したときにあったのが2018年のGI「フェブラリーステークス」です。アナウンサーの夢を追いかけていたので、夢が名前につくノンコノユメの馬券を買いました。

 レースは東京競馬場に1人で行って馬券を握りしめながら見ていたんですが、最終の直線で大外からビュンと強烈な末脚が炸裂して、最後はクビ差でノンコノユメが1着になったんです。その姿を見て「あっ、夢って諦めちゃいけないんだ」と就職試験に臨む勇気をもらいました。

 そのレースが競馬にどっぷりハマるきっかけにもなって、中央競馬だけでなく大井競馬場や川崎競馬場と地方競馬にも行くようになりました。

――ノンコノユメは佐藤さんにとって恩人ならぬ恩馬なんですね。

佐藤 そうなんです! 内定をいただいたTNC(テレビ西日本)の試験では、ノンコノユメの写真を待ち受けにしていました。面接でもノンコノユメの話をしましたし、毎回、馬券を持って面接に挑んでいました。

 

――どういうことですか?

佐藤 1次試験は面接時間を選択できたので、あえて競馬の発走時刻とぶつけました。その日は桜花賞だったんですが、面接で「私は今日の桜花賞、アーモンドアイ、ラッキーライラック、リリーノーブル。この3頭で馬券を買います」と自己PRしたんです。

 そうすると面接官も「なんだこの子」ってなりますよね。それで面接官の1人がスマホでレース結果を検索したら「その3頭が1着、2着、3着で決まってる!」となったんです。

 それでありがたいことに面白いと思ってもらったのか、通過させていただいて。その後も最終面接まで毎回その日に行われるレースの馬券を持って、予想を披露していました。