〈あらすじ〉
1580年、イギリスの小さな村で暮らすアグネス(ジェシー・バックリー)は、いつものように鷹をともなって森に行った帰り、革手袋屋の息子ウィリアム・シェイクスピア(ポール・メスカル)と出会う。意志が強く、母譲りの不思議な力を持ったアグネスにウィリアムは惹かれ、二人は結婚し、長女スザンナ(ボディ・レイ・ブレスナック)が誕生する。
ところが、このままでは自身の作家としての才能を活かせないと苦悩したウィリアムはロンドン行きを決意。一方、森を愛するアグネスは村に残り、続けて授かった双子の長男ハムネット(ジャコビ・ジュープ)と次女ジュディス(オリヴィア・ラインズ)を一人で育てることに。そんな彼女の奮闘の甲斐あって、普段は離ればなれでも、一家は幸せに暮らしていた。
しかし、当時欧州全域を襲った流行病が、一家に悲劇をもたらす――。
〈見どころ〉
本年度の賞レースを席巻したバックリーの圧倒的な演技。また、あの名台詞の解釈、終盤の舞台シーンの演出も圧巻。
シェイクスピアの妻の目線で描く 不朽の名作『ハムレット』誕生秘話
第93回アカデミー賞で非白人女性として初の監督賞を獲得したクロエ・ジャオ監督の最新作。英国の劇作家シェイクスピアの妻を主人公にした同名小説を映画化。主演ジェシー・バックリーの演技が高く評価され、ゴールデングローブ賞ドラマ部門主演女優賞(と作品賞)、アカデミー賞主演女優賞を受賞した。
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芝山幹郎(翻訳家)
★★★★☆比喩や記号としての「悲痛」ではなく、根源的な感情である「悲嘆」に迫ろうとした意欲を評価したい。J・バックリーの演技もそれに適っている。ただ、「迫真」という常套句の影がたまにちらつくのは如何ともしがたい。惜しい。
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斎藤綾子(作家)
★★★★★妻アグネスの快活で逞しい表情豊かな姿に魅了された。家庭を離れて好きに生きる夫に対する怒りはリアル。ラストは『風の谷のナウシカ』の結末を連想。死に導かれる闇を安らかに感じたのは、少年の眼差しと微笑みの力か。
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森直人(映画評論家)
★★★★★原作小説を単純化せず、丸ごと生命力を吹き込んだ監督の力量に感嘆。家父長的な天才神話の解体から、人生と芸術の関係にまで手を伸ばす。旧来の“悪妻”説を前提とした『恋におちたシェイクスピア』等へのカウンターでもある。
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洞口依子(女優)
★★★★☆私はポール・メスカルの演技に涙した。自分で自分を癒す方法を知らずに傷つく人を、カタルシスとその探究を、苦しみの向こうにある未知の国を、永遠に語られるあの一節と共に、見事に、グローブ座の場面で刻んだからだ。
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今月のゲスト
竹田ダニエル(ジャーナリスト・研究者)★★★★☆作家という立場から見ると、個人的な喪失が戯曲として何百年も語り継がれる構造に胸を打たれる。俳優の繊細な演技と映画という媒体が、悲しみに輪郭を与え時間の中に留める。
たけだだにえる/1997年生まれ、アメリカ出身・在住。「カルチャー×アイデンティティ×社会」をテーマに執筆、研究。2023年「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」を受賞。著書に『世界と私のAtoZ』、『アメリカの未解決問題』(共著)など。
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©2025 FOCUS FEATURES LLC. 配給:パルコ ユニバーサル映画
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『ハムネット』
監督・脚本:クロエ・ジャオ(『ノマドランド』)
原作・脚本:マギー・オファーレル
2025年/英/原題:HAMNET/126分
4月10日(金)~
https://hamnet-movie.jp/




