スニーカーブームは本当に終焉したのか
ところが、2023年になると、さまざまなメディアで突然「スニーカーブームは終わった」と報じられました。筆者は正直なところ、この報道に違和感を覚えました。体感的にはスニーカーという履物そのものの需要も着用者数もいささかも衰えていないと感じたからです。
実際は、冒頭で述べたようにスニーカーを含むスポーツシューズの売上高は23年度以降も拡大し続けていました。また、街行く人々や周囲の人を見てもスニーカー着用者は全く減っていなかったのです。
では各メディアで報道された「スニーカーブームが終わった」とは何だったのでしょうか?
アプリ上での「転売ブーム」が終わっただけ
報道が相次いだ23年当時、全く「ブームの終焉」を体感できなかったので、ストリートファッションに詳しい業界の専門家に尋ねてみたことがありました。その専門家から返ってきた答えは「誰もスニーカーを履かなくなったということではなく、ナイキのレア物スニーカーの高値転売ブームが終わっただけ」ということでした。
2010年代半ばから2023年までの10年弱の期間、ナイキの限定モデル、復刻版などの「レア(希少)モデル」が何十万円という高値がつけられて、フリマアプリ等で転売されていました。これは日本だけのことではなく、全世界的に「高値転売ブーム」が起きていたのです。
その過熱っぷりは異常でした。一例を示すと、ナイキの当時のアメリカ本社副社長の息子が高値転売を繰り返し、副社長名義のビジネス用クレジットカードを使用していたことが発覚して、副社長が辞任するという事件がありました。2021年3月のことです。
この2年後に「スニーカー高額転売ブーム」もとい「ナイキレアモデルスニーカー高額転売ブーム」は終了したということになります。そして、この高額転売ブームが終了を告げたのとほぼ同時の2024年ごろからナイキの苦戦が相次いで報道されるようになります。