経済学者・成田悠輔さんがゲストと「聞かれちゃいけない話」をする連載。今回のゲストは、歌い手のAdoさんです。(構成・伊藤秀倫)

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 Ado 仮に私が2026年に生まれたとして、今のAdoと同じかたちになれたかといえば、やっぱり違うと思います。

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成田悠輔氏との対談に登場したAdo

実は自堕落なAdo

 成田 もし今生まれたとしたらどう変わってたでしょう?

 Ado そもそも私は歌っていたのかな、と。今って、人間の好奇心を刺激するものが溢れかえりすぎている時代なので、自分が表現する側になるというよりは、消費者側になってたかもしれない。もともと自堕落ですが、もっと自堕落になっていたのではないかな、と。

 成田 自堕落なんですか(笑)。

成田悠輔氏 ©文藝春秋

 Ado すごくキビキビ動く人間かと言われたら、結構ギリギリ行動の人間です。もし、もっと若い子どもの頃に今のこの環境におかれたら、創作に手を出したとしても、長続きしなかったかも、と思います。

 成田 作品やコンテンツを作って出すことがかつてなく簡単になった。その分、出した瞬間すぐ反応や数字が返ってきちゃう怖い時代でもあります。スタジオや書斎に客の群衆が24時間流れ込んできてるかのような。即時評価の渦にみんな飲み込まれるなかで、自分を保って長くやり続けるのは至難ですよね。

ワールドツアーでは大熱狂 Photo by Viola Kam (V’z Twinkle)

 Ado そうですね。今は何か知ろうとすればすぐ答えが返ってきて、いろんな渦が一気に押し寄せてくる中で本当に自分の足で立って歩けているのか、という不安は正直あります。今のAdoの視点ですらそう思うので、この時代にゼロから表現者として活動を続けられる自信はあまりないです。