ものの数分で「これは道なのか?」

「ハイキングコース」だし、仏像が並んでいるようなので、道に迷うことはないはず。道幅もしっかりあり、整備されているだろう。そんな思惑だったが、ものの数分も登ったところでそれは裏切られる。

 まず、道幅があっという間に狭くなった。土の斜面は滑りやすく危険。さらに、短距離で急勾配ということは当然、道は幾度も「くの字」に曲がるつづら折りになりがち。

十三仏巡拝ルート。写真の右下から登ってきた。山上は正面奥 写真=今泉慎一

 道すがらの仏像が目印になるのだが、ちょうど「くの字」の屈曲点にあったりする。すると、そこで折れるのか、あるいは直進すべきなのかが非常にわかりにくい。

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 道は踏み跡程度しかなく、植物が生えていないところは「これも道なのか?」と紛らわしい。横山城の方角と、樹間から見える尾根を意識しつつ、道を外れ折り返したりしながら進む。

 尾根まで高低差で半分弱ほどきたあたりから、勾配は一気に急になる。ところどころ岩で滑りやすそうな場所も。と思ったら枯葉でズルっといきそうな場面もあり。手をつきながら登ってゆく。

苔むす岩場にはロープが設置されていた 写真=今泉慎一
急斜面で急角度の折れ曲がり。道自体が傾いている 写真=今泉慎一

 道間違いも含めて、麓から20分ほど。ようやく尾根まであと少しのところまでたどりついた。斜面のくぼみが畝状竪堀(うねじょうたてぼり)に見えてしまうが、山城マニアの願望を投影しているだけかもしれない。「ここから城域だ!」と、城に到達したと感じられるような「ご褒美」が欲しいのだ。

畝状竪堀に見えた斜面の凹み 写真=今泉慎一

山城攻めで最も盛り上がる瞬間

 南北に伸びる尾根は、北に向かうと横山城なのだが、少し寄り道をする。南に行くと展望台があり、周辺の木々が伐採されていて、全方位的に眺望がよい。

 この場所も当然のごとく出丸として使用されていただろうことは想像に難くない。やはり地政学的な要地であることを実感する。

「観音寺」の文字のすぐ左の尾根上あたりが展望台【再掲】(国土地理院・地理院地図を加工) 写真=今泉慎一
十三仏巡拝ルートの尾根到達点から展望台へ 写真=今泉慎一
展望台から東。ひときわ高い山が伊吹山。右奥が岐阜方面 写真=今泉慎一
展望台から西。モヤがかかっているが琵琶湖も遠望できる。直下の山麓が石田町、奥は長浜市街 写真=今泉慎一

 尾根を折り返して北へ。するとものの数分で遺構が見えてきた。これこそ「ご褒美」に間違いない光景だ。見事なまでの凸凹は紛れもなく二重堀切(ほりきり)。脇にはバッチリ竪堀も従えている。

二重堀切。外側(写真手前)の方が明確 写真=今泉慎一
内側の堀切はやや浅い 写真=今泉慎一

 二重堀切を越えた先には迫り上がる切岸(きりぎし)。完璧。我、城内へ侵入せり。テンションが上がりつつ、切岸を駆け上がる。