もう一つの“大きな出会い”

 さて、時計の針を再び「大学2年生」の当時に戻そう。実はこの年、秋篠宮さまはもう一つ、その後の人生を決定づける大きな出会いを果たしている。初めてタイを訪問したのだ。

 1985年8月、秋篠宮さまは、友人や先生たちとともに、初めてタイを調査旅行した。その時、一行の案内役を務めた、タイ研究の第一人者で大阪外国語大学名誉教授の赤木攻さんから、こんな話を聞いたことがある(「週刊文春」2025年12月11日号)。

 一行がバーンパインという離宮を訪れた時のことだ。橋のそばで大きなパンが売られていて、水の中には大きな魚がいた。秋篠宮さまがその大きなパンを丸ごと餌として投げ込むと、魚がパッと食べてしまったという。

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「後に殿下はプラー・ブック(世界最大級の淡水魚。和名をメコンオオナマズ)の研究をしていますが、今から考えると、そこで大きな魚に魅入られたんと違うかな」

「こんなに大きな魚がいるのか」と感心し、それから、秋篠宮さまはタイに興味を持つようになった。

 加えて、この調査旅行を機にタイ王室との親交が深まったことも大きかったようだ。

「タイのシリントーン王女が、『本来は自分が案内しないといけないのだが、忙しいので』と、懇意の優秀な女性をタイ側の案内役として派遣してくれた。殿下は『タイ王室は自分のためにここまでやってくれるのか』と、感激したのではなかったかな」

2025年、大阪・完成万博では悠仁さまとタイ館を視察された ©JMPA

 生涯の伴侶とライフワークとなる生き物の研究。成年皇族として歩み始めた年に、そんな二つの“運命の出会い”が待っていた。秋篠宮さまの大学2年生は、まさに人生を左右する大きな節目の年だったのである。


参考文献:
『新天皇家の自画像:記者会見全記録』(薗部英一 編、文春文庫)
『秋篠宮さま』(江森敬治 著、毎日新聞社)
「週刊文春」2025年12月11日号

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