今をときめく経営者たちが“二度とあんな思いをしたくない”というエピソードを赤裸々に明かした「文藝春秋」(2026年5月号)の特集「わが人生最大の失敗」。GMOインターネットグループ代表の熊谷正寿氏が、自ら語った大失敗とは?
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家業の手伝いからの独立
私の人生は失敗だらけで、何を最大の失敗とするか悩ましいのですが、最も多くの時間――それも40代という一番パワーのある時期の貴重な時間を失ったという意味で、2005年のローン・クレジット事業への進出は、非常に痛い経験でした。
1991年、私は27歳で起業し、手作りの電話会議装置の販売を始めました。それまでは父の会社で、経営が傾きかけたパチンコ店を立て直すなど、家業を手伝っていたのですが、息子を甘やかさないという父の方針で給料は安く、生活は苦しかった。このままではいけないと思い、「何かの分野でナンバーワンの事業家になる」という夢を掲げ、独立を決意したのです。
電話会議装置はヒットし、そこで得た資金を元手に95年、インターネット事業に参入しました。事業は順調に拡大し、99年には独立系インターネットベンチャーとして初めてジャスダックへの上場を果たしました。インターネット黎明期の時代の波にも乗り、会社は2004年に東証二部、その翌年には東証一部に上場しました。
