「全部受け止めよう」と自分のせいに出来た時、僕も強くなれた
――山田さんもその気持ちが核にある?
山田 はい。二朗さんが授賞式で「日本映画をあまり観ていなくて」「嫉妬を感じるから、悔しいと思うから」とスピーチされたじゃないですか。僕、ものすごくわかるんですね。ずっと負の感情を抱えてきたので。二朗さんが始めはセリフのない役で舞台を踏んでいらしたように、僕もエキストラ出身ですし、「一緒だな」と感じる部分がたくさんある。ずっとコンプレックスを背負って、ハングリー精神でやってきましたから。若手の「まあまあ見てくれもいいか」くらいの枠に入れられることに反抗して、あえて太ってみたこともありました……。
でも、それを一周した時と言うのかな。二朗さんも「去年、初めて日本アカデミー賞授賞式に出席して、みんなが日本映画を応援している姿を見て俺も邦画を観ようと思った」とお話しされていましたが、「負の感情を全部受け入れよう、全部受け止めよう」と自分のせいに出来た時、僕も強くなれたと思っていて。
――どんなに暗い感情も、我がこととして真正面から向き合うのだと。
山田 「僕は絶対に、負の感情から逃げない人間でありたい」。そう覚悟が決まりました。
逃げずに負の感情と向き合ってきた人が認められて嬉しかった
――そして、佐藤さんも「逃げない人」だった。授賞式での涙には、そうした想いがあったのですね。
山田 嬉しかったんです。二朗さんが、逃げずに負の感情と向き合ってきた人が認められて、本当に嬉しかった。『爆弾』はスタッフの皆さんのお仕事も素晴らしくて、多くの部門にノミネートされました。
なかでも、二朗さんが日本アカデミー賞というあの大きな舞台で最優秀賞をとってくださることで、負の感情を持った人間たちが報われるんじゃないか、僕も間違っていないと思えるんじゃないか。そんな祈りや願いもありました。
何より、二朗さんが演じたスズキタゴサクが圧倒的な存在感だったので。彼が主人公と思われてもまったくおかしくない。主演は二朗さんでしょ、と感じる方もいると思います。何なら、僕がいることで主演男優賞の道を阻んでしまっているというか。
