山田裕貴の志す「最強」と「散り様」
――今回の「原色美男図鑑」では“山田裕貴の善と悪”をテーマに撮影しました。ここまでお話を伺って、山田さんにとっての「悪」は、「嘘」とも言い換えられるのかなと。
山田 そうですね。逆に言えば、自分のやったことをちゃんと自分のせいにできる人こそ、善というか「最強」だなと思います。そりゃ当然、人間ですからミスはするでしょうし、逃げたくなるのもわかります。だけどそういう人を目の当たりにすると、やっぱりがっかりしちゃいます。僕とは考え方が合わないな、と。
――『ちるらん』の土方も「最強」を追い求めています。山田さんは長いお付き合いのドライバーさんに「最強のアップルパイを買ってきてほしい」とオーダーするなど、以前からこのキーワードを使っていらっしゃるそうですね。今日の衣装合わせでも、スタイリストさんに「最強でお願いします」とオーダーしていらっしゃいました。
山田 僕はファッションのプロではないので、その分野の方の「最強」を聞きたいし、知りたいんです。最強を追い求めている人とこそ仕事をしたい。「裕貴君、これが最強なんだよ」と言ってくれたら、「わかった。僕はそれを信じる」と迷いなく返せる。今回のスタイリストさんもヘアメイクさんも、自信をもって僕に最強を差し出してくれる方たちです。だからずっとご一緒しています。
――熱意と熱意の真剣勝負ですね。
山田 「よかったね」も「駄目だったね」も、心から一緒に感じられる仲間と仕事をしていきたいです。表面的な言葉ってわかるんですよ。どんな感想であれ、本気で、熱意をもってぶつかってきてほしい。お仕事に向かう姿勢は、そうあるべきじゃないですか。だから、僕は逃げないです。残酷からも、綺麗事からも。類家の言葉を借りるなら。
「駄目だったらそこまで。だから、足を止めなければいい」
――最後に、『ちるらん』は幕末を生きた男たちの“散る美学”を描いた作品です。山田さん自身は、役者としてひとりの人間として、どう咲き、どう散りたいとお考えですか?
山田 咲くことは、自分ひとりではできませんからね。応援してくれる方々がいてこそ花開く。僕が決めることが出来るのは散り際だけです。そこもまた『ちるらん』の歳三と一緒で「駄目だったらそこまで。だから、足を止めなければいい」という気持ちです。一瞬一瞬、命を燃やして、色んな風景を駆け抜け続けたい。その隣を一緒に走ってくれる仲間がいたら最高ですね。
――インタビューを通じて、山田さんはものすごく熱いし、ものすごくクールでもあるなと感じました。
山田 どちらにも振り切った結果かもしれません。蒸発するまで熱くもなりましたし、凍るまで冷たくもなりました。それを経て、何にでもなれるニュートラルな「水」に至った。だから今、無敵です。
【原色美男図鑑(『週刊文春』2026年4月30日号掲載)】
撮影 神藤 剛
ヘアメイク 小林純子
スタイリング 森田晃嘉
衣装協力 POSTELEGANT/PORTER CLASSIC/PLUIE
