わけわからないくらい泣いてしまいました

――タゴサクは冒頭からスクリーンを支配していますが、山田さんが演じる類家は後半から本領を発揮します。

山田 最初の脚本では、類家の上司である清宮さん(演・渡部篤郎)が早々にタゴサクに敗北して、類家が登場する流れでした。でも僕が「いや、もっと清宮さんの出番を長くしてください」と意見を出して……自分でこう、狭めたんです。主演であることの道を。

――なぜでしょうか。

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山田 本当だったらタゴサクが主人公の話だと感じていたからです。だけど、プロデューサーさんと原作者の先生から「絶望で終わらせたくない。この作品に希望を持たせたい。最後まで踏みとどまれる類家が主人公であってほしい」という想いを伺って、僕の名前が前に来ることになりました。

 そうした経緯も踏まえて、僕よりも、二朗さんが賞をとることに意味がある。そして実際に、主演の席にいる僕ではなくて、二朗さんがとってくれた。そこに、これまでの全てが乗っかっているんです。

――タゴサク自身が、社会においても、人生においても、主役になれなかった男でした。そんな彼を演じた佐藤さんが「最優秀賞」に輝いた。

山田 はい……、だからもう、わけわからないくらい泣いてしまいました。

第49回日本アカデミー賞授賞式にて 山田裕貴 公式X(Twitter)より

「僕は山田君の闇を知っている。絶対に類家だと思うんだよね」

――『爆弾』関連の記事で印象的だったのが、山田さんが「類家と自分は同じ」とお話しされていたことです。類家は「正義」の側に立つ警察官ですが、内心では「こんな世界、滅んじまえ」とうんざりしている。「悪」には転ばないギリギリの線に立つ人間です。

山田 『東京リベンジャーズ』でご一緒した岡田(翔太)プロデューサーが見抜いてくれたんです。「僕は山田君の闇を知っている。絶対に類家だと思うんだよね」と。実際、原作を読んだ時は「類家の言葉=僕自身の言葉」とすら感じました。あそこまで頭はよくないですが、マインドは類家。彼の気持ちがもう痛いほどわかる。

 歳三もそうですけど、いつもその時演じている役とどこかがシンクロするんですよね。とくに類家はこれまでで一番かもしれません。その次が『ここは今から倫理です。』で演じた高柳。絶対に世間一般の「山田裕貴」のイメージとは違うでしょうが、僕は彼の近くに心を置いていました。

Ⓒ橋本エイジ・梅村真也/コアミックス ⒸTHE SEVEN

――山田さんは熱血ヒーローのイメージだったので、とても意外です。

山田 猫かぶっています。それはそれで本当の僕ですけど、類家と一緒です。言葉にするのは難しいのですが、なんか、めんどくさいので。