4月9日、国会で、保湿剤やロキソニンなど、市販でも手に入る処方薬の保険適用を見直す健康保険法改正案が審議入りした。医師の木村知さんは「単に『薬代が上がる』という話ではない。法改正が実現すれば、誰もが平等に医療を受けられる“国民皆保険制度”の根幹が揺らぐ」という――。
テレビが報じない“ある論点”
国会で審議されている法案については、テレビの報道をみているだけでは本当に重要な論点をすっかり見過ごしてしまいます。
問題となっている法案、とくに高市首相のいうところの「国論を二分する」重要な法案については、国会議員でない私たちも、その条文を自分の目で確認しておかないと、気づいたらとんでもない法律がつくられてしまって、生活がおびやかされることにもなりかねません。
かくいう私も、今回ばかりは迂闊でした。
恥ずかしながら、現在国会で審議されている健康保険法改正案の法文をしっかり読んでいなかったことから、この国の根幹である国民皆保険制度を根本からくつがえしてしまう文言がこの法文のなかにひっそりと埋め込まれていたことに、すっかり気づかずにいたのです。
気づいたのは、4月15日の衆議院厚生労働委員会での辰巳孝太郎議員の質疑がきっかけでした。この質疑では、いわゆる「OTC類似薬」の保険適用を見直す法案が取り上げられていました。
この件については、私も昨年から問題意識は持っており、プレジデントオンラインでも11月以降、4本の記事を執筆しました。
記事では、OTC類似薬に自己負担を課す、すなわち保険適用の見直しが実施されると、これが「蟻の一穴」となり、ゆくゆくは日本が世界に誇る国民皆保険制度の根幹を破壊する「混合診療の全面解禁」につながりかねない、との懸念を訴えました。
ただ法文を読む前日までは「蟻の一穴にはなるだろうが、さすがにすぐには混合診療の全面解禁の議論にはならないだろう」と、少し油断していたのです。
