保存料を使う必要がない冷凍食品
──「生協」や「離乳食」と聞くと、安全性に配慮されているというイメージが強まりますが、一般の冷凍食品は、長持ちさせるために着色料や保存料などの添加物を使っているものもありますよね? 市販の冷凍食品とは、違う製法や原材料で特別に作っているんですか?
山本 いやいや、市販品もコープ商品も、保存料は使っていないです。そもそも冷凍食品って、保存料を使う必要がないんですよ。この商品のパッケージ見てください。(といって、冷凍庫から冷凍ブロッコリーを取り出す山本さん)原材料名のところに「ブロッコリー」しか書かれていませんよね。
──ああ、ほんとだ。「ブロッコリー」としか書いてない。なぜ着色料も使っていないのに、鮮やかな色が保てるんですか?
山本 冷凍野菜は通常、収穫した野菜を選別し、洗浄、カットして「ブランチング(下ゆで)」という加熱処理を行います。これにより酵素の働きを不活化させて、変質や変色を防ぎます。さらに、急速凍結することで、野菜の組織を壊さずに保存できるようにします。
パッケージの「保存方法」の部分には「−18℃以下で保存してください」という表示がありますが、−18℃以下の低温で凍結した状態を保つのです。その温度帯では、食品を腐らせる菌は活動できないので食品は腐りません。つまり、腐らないので、保存料は不要なんです。
冷凍食品は栄養価も保っている
──野菜の組織を壊さないということは、栄養価も下がらないのですか?
山本 その通り。下がらないどころか、生野菜より栄養価が高いケースもありますよ。たとえば、12月と9月に収穫した生のほうれんそうを比較した場合、ビタミンCの含有量はおよそ4倍程度も差があります。冷凍野菜は、1年のうちで最も美味しく、栄養価が高く、さらに価格も安い旬の時期に収穫した野菜をすぐ下処理、ブランチング、急速凍結します。つまり、栄養価が高く安定しているものを一年中食べられるというわけです。仮に、旬の時期に生のほうれんそうを買った場合でも、冷蔵庫に入れたままにしておくと、鮮度が低下し、ビタミンC量も低下します。また、夏場の生のほうれんそうより、冷凍の方が、ビタミンC量が高いということになります。
生協が離乳食の冷凍食品にほうれんそうなどの野菜を採用したのは、小分けの便利さに加えて安全で、しかも高い栄養価を維持することができるからなんですよ。