「子どものお弁当に冷凍食品は禁止」。そんな保育園や幼稚園があると話題になったことがある。子どもに「食育」のため、今でも禁止されている園があるというが、果たして「お弁当に冷凍食品禁止」は、食育なのか。冷凍食品の気になる「真実」を、冷凍食品ジャーナリストの山本純子氏にお聞きした。(全3回の1回目/#2、#3へ続く)
すべて手作りのお弁当=愛情?
──「幼稚園のお弁当に冷凍食品禁止」が一時期話題になりました。SNSで炎上したこともありましたが、どうご覧になっていましたか。
山本 毎日、旬の食材を使ってすべて手作りでできるなら、それが一番いいです。でも、「冷凍食品は手作りじゃない」とか「冷凍食品は愛情不足」といわれると「えっ?」と思います。冷凍食品って、レンジで温めて詰めるお総菜だけじゃないんですよ。食材を凍結することは、資源を有効に生かす手段です。素材から調理品まで、そのすべてを「禁止」とされてしまうことには違和感を覚えます。
──冷凍食品の並んだお弁当は、手作りのお弁当に比べて見劣りがするなど、子どもの自尊心を傷つけることもあると聞いたことがありますが・・・・・・。
山本 それは私も嫌かも(笑)。冷凍食品で「手間抜き」して得た時間を使って、彩りなどを考えてセンスよく詰めてほしいですね。「手をかけることがよいこと=愛情」と考える人も多くいますけど、「幼稚園で使うバッグを手作りしてきてください」と言われることには納得できても、「お洗濯も愛情なので、お子さんの洗濯物は毎日手洗いしてください」と言われたら「えっ?」と思いますよね。どうですか? 極端な言い方ですけどね。
社会が便利に進化していくなかで、交通やインターネットなどの情報手段はどんどん生活に取り入れているのに、便利に進化した食材を使うと批判されるというのは、矛盾している気がします。
──最近は「便利で確実だから」という理由で、連絡手段にラインやメールを使う学校や園も多いと聞いています。確かに矛盾している部分はありますね。
山本 ですよね(笑)。
コープが離乳食の冷凍食品を開発
山本 「安全性」という点では、コープ(生協)が離乳食の冷凍食品を開発しています。昨年春に発売されたんですが、すごく評判がいいそうです。子育て世代の組合員の声をもとに子育て中の女性が開発したもので、手作り離乳食の助けになるような、うらごし野菜、無添加の白身魚ほぐし身、小分けしたおかゆなどが揃っています。「時間を上手に節約しながら、安全でおいしいものを食べさせたい」という賢い消費者が、やっと冷凍食品のよさに気づいてくれた、と喜ばしく思っています。離乳食の冷凍食品が評価されているということは、品質、安全性が証明されているということの裏返しでもあるんですよね。