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「冷凍食品」「ホームフリージング」冷凍食材を「本当においしく」食べる方法

冷凍食品ジャーナリスト山本純子インタビュー#3

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 今や、離乳食にも活用され、フランスの人気冷凍食品専門店「Picard(ピカール)」の本格上陸で流行に敏感なSNS世代からも注目される冷凍食品。だが、実は冷凍した食材を「本当においしく食べる方法」はあまり知られていない。どのような食材が冷凍に向き、どのように解凍すればもっと美味しく食べられるのか。冷凍食材の「正しい食べ方」を聞いた。(全3回の3回目/#1#2より続く)

ピカールが「冷凍食品=手抜き」の悪印象を払拭できた理由

──冷凍食品はお弁当用、というイメージはひと昔前のもので、今やさまざまな冷凍食品が発売されています。スーパーの冷凍食品の売場も、昔に比べると随分賑やかになったように感じます。

山本 ピカールが入ってきて、少しずつ日本の冷凍食品のイメージも変わってきていますよね。「日本の冷凍食品がReady to eat(レディ・トゥ・イート)であるのに対して、ピカールはReady to cook(レディ・トゥ・クック)」と簡潔に分析した方がいましたが、確かにピカールの商品は、オーブン加熱や焼くだけであっても、調理の最終段階を消費者の手に委ねる商品が多く、それが「冷凍食品=手抜き」の悪印象を払拭しているように思います。

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ピカールの商品。調理済みの商品もあるが、「温野菜ミックス」(右)など、料理の「素材」になる商品も使いやすいという。 

──山本さんはよく、冷凍食品は「手抜き」ではなく「手間抜き」食品だとおっしゃっていますが・・・・・・。

山本 冷凍食品は「手抜き」の食品ではなく、家庭の代わりにメーカーが手間を代行してくれた「手間抜き」の食品です。冷凍食品は、食材の選別、購入からはじまって、洗って切って下茹でをして、さらに調味して、という手間を、家庭に代わってメーカーが行っているんです。しかも、家庭より数段上の衛生的な環境で手間ひまかけています。しかも、できたてを急速凍結して新鮮さを保って流通している。こんな良いものを使うことは、決して「手抜き」じゃないですよ。

 ピカールが人気なのは、珍しさだけでなく、一定の品質基準で自社ブランド製品を開発して品揃えしていることに、利用者が気付いたからではないでしょうか。ちゃんと家で「調理して」食べることで夕食に使っても罪悪感を持たないところにも魅力があると見ています。

ピカール「緑と赤のサラダボール」