嘘をでっちあげて投稿するケースも

 今回の事件において生じた情報狂乱は、事件そのものとは別に「第二の事件」とも言えるだろう。このような事態に、われわれはどう対処するべきであろうか。

 まず、マスメディアは過剰報道や、情報の垂れ流しをすることなく、冷静で抑制的な報道に徹するように、改めてその報道姿勢を問い直すべきだ。視聴者が求めているから放送するというのではなくて、過熱する視聴者を抑えることの役割も必要である。

 過剰報道すると、受け手側は「これは重大な事件だ」ととらえ、ますます感情的に反応しやすくなる。そして、それが誤情報拡散の一因ともなる。一部メディアでは「誤情報に注意」などと注意を呼び掛ける場面もあったが、自身の過剰報道が誤情報拡散につながっていなかったか、検証が求められる。

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 SNSなどでの誤情報に対しては、第一に、受け手側が「SNSなどでの出所不明の情報は不正確であることが多い」と理解することである。重大事件ほど、最初の数日は誤認・錯綜が起きやすい。また、面白がって、あるいは収益のために意図的にショッキングな嘘をでっちあげて投稿する者も多い。

©AFLO

 感情の赴くままに、これらを鵜呑みにしたり、拡散したりするのではなく、他の情報と比較したり、信頼できるメディアの情報や警察からの発表などを待って、その真偽を確認する余裕が必要である。

 プラットフォーム側の責任も大きい。収益化をしているアカウントがデマや誤情報の発生源になっている場合は、そのアカウントの停止などの措置を迅速に行うべきである。いろいろな事件や災害などが起きるたびに、おそらく事実ではないと分かっていながらデマを垂れ流すような悪質なアカウントもある。そうしたアカウントを放置しておくことは、プラットフォームもデマ拡散の共犯者だと言われても仕方ないだろう。

私たちが問われていること

 この事件で最も重い現実は、一人の無辜の子どもの命が失われたことである。にもかかわらず、社会の視線が情報狂乱へと流れるなら、被害の本質から目をそらすことになるし、被害者への冒涜ともなる。

 私たちが問われているのは、事件に対して感情的、短絡的に熱狂することではない。真実が確定していないときに、どれだけ慎重で抑制的でいられるかである。そこに、成熟した情報社会かどうかが表れる。


※「朝日新聞デジタル」2026年4月18日配信

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