翌朝から朝食前にウォーキング

 新庄が報道陣に明かしたことで、このやり取りは電波やインターネットに乗って世の中を駆け巡った。新監督の新庄が初めて選手に出したリクエストとして、型破りな空気に戸惑う選手の様子を表す素材としてニュースになった。ただ、清宮の受け止め方は世間とは少し異なっていた。新庄と初めて言葉を交わした後、まるで自分の内面を見透かされていたような感覚になったのだ。

〈プロに入ってから何をやってもうまくいかない感じで、バットも打ち方も定まらないまま、あの年はプロで初めて一試合も一軍で出られなかった。自分でも何か大きく変えなきゃいけないんだろうなと考えていたところだったんです〉

高校時代の清宮幸太郎 ©文藝春秋

 清宮はアマチュア時代からスター選手だった。12歳の時、東京江東区の強豪リトルの主砲として世界大会で優勝した。少し太めの体格と特大のホームランからアメリカのメディアが「和製ベーブ・ルース」と報じ、それが代名詞になった。早稲田実業では当時の高校通算本塁打記録を塗り替えて、高卒選手として史上最多タイとなる7球団競合の末にファイターズへ入団した。

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 だが、プロ入り後はかつてのように打球がスタンドインしてくれなくなった。バットや打撃フォームを何度も変更したが、結果が出ない。自分には何かもっと大きな変革が必要なのだと考え始めた矢先、新庄がやって来て、あの一言を放ったのだ。

〈だから、ボスに言われたことがすんなり自分の中に入ってきて、誰が見ても変わったと分かるように痩せてやろうと思った。それまでは打てない原因を技術にばかり求めていたんですけど、身体の状態とか日常生活にも潜んでいるのかもしれないと考え始めたんです〉

減量後の清宮幸太郎(右)。隣は郡司裕也 Ⓒ時事通信社

 翌朝から朝食前にウォーキングを始めた。時速6キロで1時間ほどホテルの周りを歩く。東シナ海に面した海岸沿いの風景は見慣れているはずだったが、早朝の誰もいない道を歩くと、まだ知らない景色があることに気付いた。それが清宮にとっての変化の始まりであった。

※この続きでは、北海道日本ハムファイターズの内野手・清宮幸太郎さんが、新庄剛志監督の言葉をさらに振り返っています。約8900字の全文は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています(鈴木忠平「ボス新庄監督の魔法」)。

文藝春秋

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ボス新庄監督の魔法

出典元

文藝春秋

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