「指なんてないほうが格好いい。そんな必要はありません」
安藤は、指詰めをした男のために、高級旅館の石亭に部屋を取って、泊めてやった。安藤は、男が切断した小指をきちんと消毒して、持たせてやった。その男は、自分の小指に未練がなかったせいだろう、石亭の部屋の冷蔵庫に小指を入れっぱなしにして帰った。旅館の女中は、部屋を整えるために、冷蔵庫を開けた。その瞬間、冷えた小指が目に飛び込んで来た。
「キャーッ!」
安藤だからこそ実現した組織の大物たちの出演
さて、ついに映画のタイトルにもなっている「片腕切断」の場面となる。ここからは、フィクションである。ある男が、抗争の過程で右手首を切られる。それが地面に落ちる。切られた手の指がトカゲのシッポのようにじんわり動く。実は、このシーンは、安藤の家で撮影された。ちょっとした特撮であった。
安藤によると、畳に穴を空けて、その畳を斜めに立てかけた。撮影では、畳の穴に安藤自身の手を突っ込んで、切られた右手首に擬して、じんわり動かしたのである。カメラも、その畳と平行に斜めにして、それを撮影した。それは、安藤自身のアイデアであった。
映画にはほかに、義人党党首の高橋信義のインタビュー、東京盛代星一家大塚2代目・庄子喬のインタビュー、奥州西海家横田4代目藤川分家代行の長尾照治のドキュメント、彫り師凡天太郎改め聖五郎へのインタビューへと続く。
いずれも、安藤なしでは実現不可能な出演陣である。安藤が「おれがやるんだから頼むよ」と言ったので、快く応じてくれたのが、松葉会の菊地会長をはじめとする大親分たちであった。
800万円の低予算でつくった映画であったが、東映には1300万円で売れた。そのナマナマしいシーンで話題を呼んだ。
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