イスラエルとアメリカの攻撃を受け、イラン政府がインターネット回線を遮断してから2か月以上となった。現地の状況について報道が少なくなる中、「文藝春秋」6月号(5月9日発売)では、今年の3月までテヘラン日本人学校の校長を務めた西田隆之氏が、市内の様子を明かしている。
「警備員は今もテヘラン日本人学校を守り、現地スタッフは国際電話で状況を毎朝報告してくれます」
現在、日本人学校は1年の休校を余儀なくされているが、来年度からの再開を目指している。そのためイラン人の現地スタッフは今でも勤務を続けている。
イランの人々が日々の暮らしで困っていること
イランの人々は先行きの見えない停戦交渉に不安を抱くだけでなく、日々暮らしていく上で困っていることがあるという。
「テヘラン市民の不満は、インフレも一因です。赴任した2023年当時、為替レートは1ドル48万リアルでしたが、私が帰国する直前の今年1月半ばには、1ドル110万リアルと、2倍以上になっていました。銀行預金しても目減りするだけなので、現地のスタッフは給料を受け取ると、金や銀に替えて備えていました」
夕方以降は外出しない、大きな声が聞こえたら遠ざかる
物価が高騰し続けて、一時は卵や牛乳などの生鮮食品が購入できない状況になっていた。その結果、人々の不満が爆発したのが、昨年12月から今年1月にかけて起きた反政府デモだ。報道された映像を見ていると、至る所で大規模なデモが頻発しているように感じたが、西田氏によると実際の状況はだいぶ違っていたという。
「ニュースで見ると、そこら中でデモが起きているように思ってしまいますが、限られた場所だけです。事前に時間と場所が周知されるので、そこを避ければ安全でした。子どもたちと先生たちには夕方以降は外出しないように、大きな声が聞こえたら遠ざかるように話していました。おそらく、記者など一部の人を除けば、デモに遭遇した日本人はいなかったと思います」
そのほかにも、2025年6月の「12日間戦争」が始まった瞬間や、その後、バスで隣国のアゼルバイジャンへと脱出する一部始終が描かれている西田氏の「イラン18時間脱出記」は、「文藝春秋」6月号(5月9日発売)、および「文藝春秋」の電子版「文藝春秋PLUS」に掲載されている。


