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被告人の運転に気付いた妻だったが……
そして事故当日、被告人が車で出勤したことに出発から10分くらいで気付いたという妻は、そのときの心境として「持っていってしまったなぁ」と思うだけだったと振り返る。被告人に「安全に」と連絡をしただけで、その後運転代行を呼ぶことも帰宅の方法を指示することもなかった。
ここまでの話を聞いていて、遺族としては「いくらでも事故を防ぐチャンスはあったはず」と思うことだろう。裁判の後半で行われた、被害者母の意見陳述では「交通事故の中には、避けられないものがあるのはわかる。しかし、今回は避けられたはずだ」、「常識ある判断さえできていれば……」、「殺されたと思っている」といった言葉が並んだ。
被告人の主治医からの意見として「服薬の管理能力も十分でないほどの認知機能の数値である」といったものが裁判の中で証拠採用されている通り、被告人が悪意を持って運転を行ったわけではない。しかしこの点は、遺族の怒りを軽減させるものでなく「どこに怒りをぶつけたらいいか」とさらに苦しめる要素にもなってしまっている。
続く後編では、事故直後の被告人のようすや、妻が被告人の運転を止められなかった背景。そして言い渡された判決や、法廷に響き渡った被害者母の叫びなどについてまとめている。
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