三浦璃来氏と木原龍一氏による“りくりゅう”ペアは、いかにして誕生したのか。コーチをつとめたブルーノ・マルコット氏と、日本スケート連盟フィギュア強化部長の竹内洋輔氏が「“りくりゅう”ペア誕生」の瞬間を語った。

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見たこともないような高さ

 2019年5月12日、運命の日が訪れる。連盟のカップル競技育成策は9年目に入っていた。マルコットはあの日を鮮明に覚えている。

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「璃来は私の生徒として練習に来ていて、龍一は私のアシスタント役でした。あの日は目立った成果もなく、もう引き上げようかという時に『ちょっと龍一、璃来の練習を手伝ってやれ』という感じで、2人が滑ることになったんです」

 しかし、滑り始めると、息がピタリと合い、まったく同じ歩幅、同じ氷の押し方で加速していった。そして、見たこともないような高さのツイストリフトを上げた。

「2人とも興奮して笑っていました。この2人が組めば、必ず成功すると、確信しました」

三浦璃来氏(左)と木原龍一氏 ©JMPA

 その場にいた竹内のスマホには、その時の動画が保存されている。

「あの瞬間、『うわっ』と思いました。ブルーノが『ニヤッ』と笑っていたことも忘れられません(笑)」

 8月、2人はトロントを拠点にするマルコットのもとに飛んだ。当時、三浦はまだ17歳の高校生。竹内は練習面以外のサポートが必要だと考えた。

ミラノ・コルティナ冬季五輪で発表された成績に喜ぶ“りくりゅう”ペアとブルーノ・マルコット氏(右端) ©JMPA

「9歳上の龍一くんは『自分が面倒をみなきゃ』と、車で璃来ちゃんのことを送迎してくれました。海外では、文化や言語の壁があり、若い選手ほど相談相手がおらず、孤立しやすい。そこで、トロント在住で、スケートカナダでボランティアもしていた嘉納ももさんに、生活面のサポートを強化部からお願いしました」