適当に喋っていたところが使われていて

―― 劇中では、細川さんも含めた3人の空気感がとても自然で魅力的でしたが、演出によるものなのか、それともアドリブ的な要素が強かったのでしょうか。

『トランジット・イン・フラミンゴ』

山下 アドリブ、めちゃくちゃ多かったよね(笑)。

 そうですね! というか、私たちが適当に喋っていたところがそのまま本編に使われていたりします(笑)。

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山下 堀内監督は、現場で生まれるものをすごく大切にしてくださる方。最初に役柄についてガッツリお話はしましたけど、現場に入ってからは私たち3人のチューニングが合っていくのを信じて任せてくれました。私、この映画の空気感を「宇陀タイム」って呼んでいるんです。

『トランジット・イン・フラミンゴ』

―― 「宇陀タイム」?

山下 撮影をした宇陀という土地に、早くもなく遅くもなく、でも独特のゆっくりした流れを感じていました。そして、その流れの中で自分に帰れるような時間が生まれる。次第に3人のチューニングが合っていって、だからこそあんな「あり得へんこと」がスッと入ってくる映画になったんだと思います。

宇陀には撮影の後に両親と再訪しました

―― 皆さん、宇陀には2週間ほど滞在されたそうですね。

 私は撮影した2年前はまだ自動車免許を持っていなかったので、空き時間は駅でレンタサイクルを借りてブラブラしていました。新緑の時期で、道にまで伸びてきた草に当たりながら自転車を漕いで。そして湖や山を眺めているうちに、「私ってちっぽけだな」って思ったんです。それは寂しいんじゃなくて、すごく安心できることとして入ってきたんです。いろいろ気負っていたものから自由になって、フラットになれる場所でした。

祷キララ 撮影:三宅史郎