だが、注目されたのはそこだけではない。このアカウントは、首相に関する報道に反応し、特定の記事を引用して肯定し、別の報道には否定的なメッセージを返している。
少し驚いた。政府の公式アカウントが新聞報道の“答え合わせ”をする光景を、あまり見たことがない。
内閣広報室の「試行アカウント」が「そのとおりです」と投稿
政府広報の役割は、本来、政策や事実を説明することだろう。だが、報道の“答え合わせ”まで始めることは「説明」なのか、それとも「政権の自己防衛」なのか、「けん制」なのか。
具体例を挙げよう。4月に雑誌界隈で話題になったのが、「高市早苗首相と今井尚哉参与が大喧嘩?」という報道だった。
月刊誌「選択」は、高市首相がホルムズ海峡への自衛隊派遣を考えていたところ、今井氏が強く反対し、激しいやり取りになったと報じた。高市首相は国会で「誤報」と否定した。
ここまではよくある話だ。政治家が不利な報道を否定すること自体、珍しくはない。
興味深いのは、その先である。
今度は「週刊文春」が今井氏本人を直撃した。今井氏は首相との確執を否定したものの、
「秘書官の仕事、参与の仕事というのは、耳が痛かろうがどうだろうが、国にとって重要なことについてはきちっと進言しなきゃいけない」
と語った。この言葉、妙に含みがある。
すると動きがあったのは5月1日だ。産経新聞電子版が「実際には訪米前、首相は今井氏と面会する機会を持たなかった」とする記事を配信すると、内閣広報室の「試行アカウント」がその一節を引用し、「そのとおりです」と投稿したのである。
首相本人の否定だけでなく、政府の公式アカウントまで出てきて“答え合わせ”を始めた形なのだ。ここまでくると、単なる説明なのか、それとも「火消し」なのか、考えてしまう。
しかもタイミングが絶妙だった。同じ5月1日は、「選択」最新号の発売日でもあり、そこでは前回報道をさらに補強する記事が掲載されていたからだ。
この流れを見て、日刊ゲンダイは《アカウント開設を「選択」の発売日にかぶせるあたり、「やはり『選択』の報道を打ち消そうとしているのでは》という見方を載せた。