大統領選の挫折
そうしたルビオにとってトランプ登場以降の共和党の変化は大きな試練であった。
ルビオは、2010年の上院選挙こそ、ティー・パーティーの支援を得たものの、もともとは共和党主流派に近い政治的立場をとっていた。特に、外交面では、上院における「安保タカ派」の指導者としての地位を確立し、強硬な対中姿勢のおかげで、2020年に中国政府から入国禁止措置を受けたことはよく知られている。
2016年、大統領選挙に出馬した際、ルビオが提起した外交方針は、敵対国家への厳しい姿勢、自由貿易の擁護、普遍的価値の重視、の3本柱で構成されており、孤立主義への傾斜を深めるポピュリストの主張とは一線を画している。内政面では、すべての国民のための経済的機会を回復することを強調する一方、移民問題では非正規移民に対して市民権獲得の道を開くことを容認するなど、トランプ主義の方向性とはかけ離れた立場にあった。
2016年の予備選では、当初ルビオはトランプを泡沫候補として相手にしない姿勢で臨んでいたが、トランプのモメンタムが増大するにつれて対決姿勢を強め、最後は「詐欺師」、「嘘つき」となじり合う泥仕合に発展した。しかし、「ストリート・ファイト」にかけてはトランプの方が一枚も二枚も上手で、前述のように子ども扱いされたルビオは結局予備選からの撤退を余儀なくされる。
8年前の敗北から国務長官に就任するまでの間に、ルビオの政治的立場はゆっくりと弧を描きながらトランプのそれに接近していく。ルビオの戦略は、「安保タカ派」としてのアイデンティティーを守りながら、トランプによる共和党に対する支配力強化の動きにはあえて抗わず、政局の流れを見極めるという、待ちの姿勢にあった。
※本記事の全文(7000字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2026年6月号に掲載されています(冨田浩司「逆襲のルビオ マルコ坊やは家康になれるか」)。

