現在、国内配信サービスで、会員数1000万人を超える王者Netflixに対抗するのが、国内シェア2位につけるU-NEXT。同社を率いる、U-NEXT HOLDINGSで代表取締役社長CEOをつとめる宇野康秀氏が、起業家としての人生を振り返った。
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「何回でも刑務所行ったるわ!」
私はよく、創業社長と勘違いされますが、1989年にインテリジェンス(現・パーソルキャリア)を起業した後、1998年に父から大阪有線放送社(旧・USEN)を継いだので、2代目の社長になります。
1961年に創業した大阪有線放送社は、私が継いだ時には全国に700カ所の事業所があり、60万件の利用があった一方で、720万本もの電柱に無断で自社ケーブルを設置して有線放送の事業を行っていました。その長さは、地球3周分とも言われます。
コンプライアンス上は大問題ですし、法的にもグレーです。事実、父は逮捕されて刑務所に入ったこともあります。ただ、法律を前にしても、自分の信念にまったくブレがない人でした。お客さんが有線放送のサービスを喜んで、迷惑をかけているわけでもないのに、それが間違っていると言われるならば、法律を改正すべき、そう公言して憚らなかった。
今も心に残っているシーンがあります。1995年、村井純さんの『インターネット』(岩波新書)が発売されて、とても話題になっていました。正月に帰省したら、父もこの本を読んでいて、「これは凄いで、世の中が変わる。有線でこれやるわ」と言い始めたのです。
兄は「まあまあ」となだめつつ、「インターネットをやるには通信事業許可が必要だけど、有線自体が許認可を得られていないので、免許は取れないし、また電柱でやったら刑務所行きだよ」と説明しました。
すると、父が「世の中が良くなるんだったら、何回でも刑務所行ったるわ!」と一喝したのです。横で聞いていて、リスクは承知のうえで、多少の犠牲を払ってでも、世の中に喜ばれるサービスを届けるんだ、という父の考え方に、「格好いいな」と思いましたね。刑務所には絶対に行きたくないですが(笑)。私は多少なりとも影響を受けています。儲けは二の次で、事業が社会の役に立つこと、必要とされることこそが、私の経営者としての信念ですから。

