自らが所有する島やプライベートジェットへ世界中の要人を招き、10代の少女に性行為の相手をさせていた米国の富豪、ジェフリー・エプスタイン。性的虐待などの罪で起訴されるも、2019年に獄中で自殺した凶悪な性犯罪者だ。

 このエプスタインにはビジネスパートナーがいた。恋人であり、英国社交界に強力なコネクションを持つギレーヌ・マクスウェルだ。彼女の“手腕”なしには、エプスタインの性犯罪ネットワークの構築はありえなかったかもしれない。

 ここでは、ジャーナリストの小林雅一氏が一連の「エプスタイン事件」についてまとめた『エプスタイン文書の衝撃』(宝島社新書)より一部を抜粋して紹介。少女たちを唆し、エプスタインのもとを去れなくするマクスウェルの恐るべきテクニックに迫る。(全2回の1回目)

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ジェフリー・エプスタインとギレーヌ・マクスウェル/2021年12月8日にニューヨーク南部地区連邦地方裁判所が提供 ©AFP=時事

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「もてなし上手」だったマックスウェルの“仕事”

 マクスウェルに最初に与えられた仕事は、エプスタインが所有する複数の邸宅(ニューヨーク、パームビーチ、サンタフェなど)のマネジメントだった。

 マクスウェルはエプスタイン邸の装飾を指揮し、そこで働くシェフや運転手、清掃員を自ら面接して雇い入れた。また彼女はエプスタインに「英国流の洗練されたマナー」を教え込んだともされる。

 フロリダ州パームビーチにあるエプスタイン邸の従業員は、マクスウェルのことを「屋敷の女主人(Lady of The House)」と呼んでいた。

(左から)ドナルド・トランプ、当時トランプと婚約中だったメラニア夫人、ジェフリー・エプスタイン、ギレーヌ・マクスウェル ©getty/Davidoff Studios Photography

 またニューヨークのエプスタイン邸で2人が主催したディナー・パーティに出席した某投資銀行家は、マクスウェルについて「(エプスタインの)半ば恋人であり、半ば従業員であり、半ば親友であり、半ばフィクサー(トラブル解決役)のようだった」と述べている。

 パーティ会場でのマクスウェルはショートの黒髪に揺れる大きなイヤリング、身体にフィットしたドレスを身に着け、「途方もなくもてなし上手」だったという。

 これだけの仕事で済めば何ら問題はないはずだが、実際にはそれでは済まなかった。