「タモリ倶楽部」にも出演した道路マニア! 国交次官が語る「セクシーな道路」

森昌文 国土交通次官インタビュー #2

鼠入 昌史 鼠入 昌史
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お香についてならいくらでも喋れるんですよ(笑)

――リラックス方法などはありますか。やはりドライブでしょうか……。

 私、お香が好きなんです。お香についてならいくらでも喋れるんですよ(笑)。部屋で一人のときにはいろんなお香を焚いてリラックスしています。最近気に入っているのは、京都の相国寺でしか買えないお香でして、伊藤若冲の堂号や諱が名前になっているんです。もともと日本画も好きなので、特に気に入っています。白檀系の香りで。

 

――おお……。いい香りですね。

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 若いうちはあまり好きじゃなかったんですけど、歳を取ってくるとだんだん自分に供えてもらいたいお線香の匂いを求めるようになってきました(笑)。

――気になっていたんですが、机の上にはたくさんの赤鉛筆がありますね。

 ああ、これはあまり見せたくないんですけど(笑)、ちびた小さい赤鉛筆を2本セロハンテープでくっつけて使っているんです。私の祖父がやっていたのを幼心に見ていて、自分でもやってみたら意外と使いやすくて。事務次官なのになんだか恥ずかしいですけどね。

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「使いやすいんですよ」
 

「技術屋」出身の次官としての抱負

――国土交通省は国土計画から観光行政に至るまで、所掌事務が約130項目もある巨大な官僚組織です。次官になられて、あらためて思う国交省の役割とは何だとお考えですか。

 国土交通省というのは、省庁の中でも特にみなさんの生活に密着しているところだと思うんです。朝起きてトイレに行って顔を洗えば、下水があって上水道がある。通勤する際には道を歩いて、川を渡れば電車に乗る。天気予報や地図も身近なものだと思いますが、気象庁や国土地理院も国交省の管轄です。ですから、みなさんの生活のかなりの部分にコミットしていると。さらに、自らやれる分野を持っているというのも霞ヶ関のなかでは特殊な省庁だと思います。国が自ら国道を管理したり、河川を点検したり、さらには港やダムを作ったり。ですから、主体的に国民生活を支えているという責任を持って、行政に取り組んでいかなければならないと感じています。

 

――国土交通事務次官は旧建設省、旧運輸省、そして技術系を専門にする技官が交代交代で事務次官を務める慣習になっていますよね。森さんは技官のトップである技監を務められ、今夏新次官に就任されました。「技術屋」出身の次官としての抱負、目指されるところは何ですか?

 国交省の6万人近い職員は、法律、土木、建築、物理、機械、そして海上保安系など多種多様な職員で成り立っています。その強みを様々な場面で活かしていきたいですね。技術に詳しい職員は自ら技術開発もするし、開発したものを使う仕事もある。ですからAIなどの新しい技術をどんどん取り入れていって効率的に社会に組み込んでいくというのも我々の重要な仕事ではないかと考えています。たとえば人口減社会、高齢化社会が進んでいく中で、どんな技術がみなさんの生活の支えになるのか。そして、国交省が開発した技術を世界に売っていくところまでお役立ちができれば、と思っています。技術力を持っている省庁にできることは、まだまだたくさんあると考えています。

 

もり・まさふみ/1959年生まれ。奈良県出身。81年東京大学工学部土木工学科卒業、建設省入省。国土交通省道路局高速道路課長、企画課長、近畿地方整備局長を経て、道路局長、技監。2018年7月、事務次官に就任。

写真=橋本篤/文藝春秋