永守重信が依存した“ゲシュタポ”特命部長(70代)

 なぜ、元キャリア官僚たちは全く機能しなかったのか。不正の背後で蠢くのが、冒頭の報告書に登場する「特命監査部長・A氏」と呼ばれる70代前半の人物だ。

「附属高校から慶應大学経済学部に進学。卒業後、日立製作所に入社し財務監査を担当。その後所属していた日立のグループ会社が買収されたのを機に、ニデックに所属。『組織に馴染もうとしないが、監査能力は高い』という評判を聞きつけた永守氏が、『特命監査部長』の肩書を与えた。暗い雰囲気をまとっていて近寄り難かったそうです」(ニデック関係者)

 A氏は2011年から20年まで、永守氏の“懐刀”として暗躍。不正の「裏監査」を一手に担った。

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「正規の内部監査部門があるにも関わらず、単独で社内の会計不正や横領・着服疑惑などを調査。しかも、秘密裏に処理し永守氏ら限られた幹部のみに報告していた。ただ、在任期間中も会計不正が減少することはなかった」(同前)

 永守氏への報告はメールに残さず書面で行い、事後に破棄。徹底した秘密主義は「ゲシュタポ」顔負けだ。A氏は永守氏の後任の社長に業務内容を説明するために作成した資料で「8年間特命調査で不正約300件・約350億摘出」と実績をアピール。そして「組織防衛を最優先に外部漏洩阻止」と、歪んだ監査信念が窺える。

「A氏と永守氏らは、監査法人や社外役員に不正を秘匿していた。さらには、会計不正を直ちに是正せずに、子会社が営業利益を大きく落とさないよう不適切に不正を処理していた疑いがあります」(同前)

報告書はA氏に117回言及

 永守氏はたった一人の社員の特命監査に依存し、不正は長年、隠蔽されてきたのだ。A氏は4年前に退職している。第三者委員会のヒアリングに応じておらず、不正の全容解明は進んでいない。

 都内のA氏の自宅を訪ねると、親族が応対した。

「日立製作所の後、どこに勤めていたかも知らない。でもその方(永守氏)の名前は知っています。15年ほど前、(A氏の)母親の葬儀に遅れて来られていました。(A氏は)質実剛健で口が堅い。不正をやるようなことはないと思う」

 A氏本人からは親族を通じて「取材には一切答えない」と返事があった。

 次の調査は、8月末までの完了を目指すという。

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