公演チケットの販売枚数がギネス記録に認定されるなど、世界から熱い注目を浴びているピアニスト・角野隼斗さん(30)。今回は、日常生活から失敗体験まで自らの“素の姿”を角野さんが明かした。
◆◆◆
初めての「緊張」の記憶
ヨーロッパでは3日おきに次の都市へ移動し、昼は練習場所を探し夜はコンサートという毎日。あまりに忙しいので精神的に健康な状態で過ごすにはどうしたらいいかをよく考えます。
最近は、時差ボケが酷くて、とりあえず朝は起きてご飯を食べ、日光を浴びながら練習場に向かう。
演奏会場に到着した日はリハーサルの時間に充てますが、今回は朝4時に日本に着き、そのままリハーサルスタジオへ直行しました。リハのためにさらに1日前倒しで到着すれば楽ですが、その分、自宅で過ごす時間が削られます。今年は結婚もしましたし、いまは少しでも長く家族といることを心がけています。
ピアノの練習やコンサートでは、ものすごく肩が凝ります。特に右肩がひどいので、ジムで筋トレも始めました。2時間のコンサートでは足が凝ることもあるんですよ。きっと演奏中に踏ん張っているのでしょうね。上半身を支えているのは、お尻や太もも、足の筋肉。ピアノの演奏は全身を使う重労働です。加えて飛行機の移動が多いと、腰も痛くなります。
演奏を安定させるために体幹を鍛えたいと思ったのも、ジムに通い始めた理由のひとつです。と言っても毎回30分から1時間以内で、週に2回行けたらいいな、という緩いトレーニングですが(笑)。軽く走るのもいいですよね。気持ちがよく、自己肯定感も上がります。
小さい頃から人前で弾くのが好きで、本番に強いほうでした。緊張もあまりしなかったのは、音楽についてよくわかっていなかったからでしょう。
初めて緊張を感じたのは、小学生のときに、室内楽を体験できるマスタークラスに参加した時です。ピティナの企画だったと思いますが、プロのバイオリニストとチェリストと一緒に弾く、小さなコンサートでした。

