感情表現をしやすい目も、液晶を使ってしまうとロボット感が出てしまう。そこで、目を毛の流れによって見えたり、隠れたりすることによって、ユーザーにモフリンの感情を想像させる仕様にした。

ただ、この毛が開発担当にとっては曲者だった。毛が邪魔になり狙い通りに動かせなかったり、センサーの精度が下がったりするため、細かな調整が必要になる。同種のロボットに毛がついたものが少ないのは、技術的難易度を高めるからだ。

充電方法に込めたこだわり

二村さんがもっとも悩んだのが、充電方法だ。生き物というコンセプトである以上、直接コードは挿したくない。だが無線給電は技術的に不確実で、コストも上がる。3パターンほどを企画と役員に提示し、最終的に選ばれたのが現在の巣箱型だった。

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「コードを挿すと冷めますもんね、なぜか」と二村さん。接点をつけて「カチッ」とはまる方式すら、企画チームは「その音が嫌」と却下した。「生き物らしくない現象は省きたい」――。モフリンの哲学が、最後の最後まで貫かれた。

生き物らしさを表現できても、企画チームは満足しなかった。社内から繰り返し投げかけられる問いがあった。「飽きないのか」。

スペックでは比較できないこの商品が、買った人を長く飽きさせない自信があるのか。市川さんはこの問いに、こう答えを編み出した。

「飽きとは、変化が止まることだと思ったんです。生き物は、昨日と今日で同じ仕草をしているように見えても、その時の感情や気分でどこかが違うはず。だったらモフリンも、同じ仕草をしながらも、その時の感情や性格で少しずつ変えていけばいい」(市川さん)

そこで開発したのが、“感情AI”だった。

400万通り以上の個性

感情AIによってモフリンはオーナーの接し方によって、鳴き声や動きが変わり、様々な喜怒哀楽の表現ができる仕様に。また、声の周波数を分析してオーナーを識別し、モフリンが特別な仕草をした際のオーナーの反応を記憶するという「なつき機能」を実装。飼い主好みの仕草に変化していくよう設計した。