24年度のホンダと日産の研究開発費を足すと1兆8400億円となり、トヨタの1兆3000億円を上回る。SDVの車載OS開発では、さらに兆円単位が必要になるだろう。ホンダは30年度までにEV・SDVに対して5兆円投資する計画だったが、24年に10兆円に上方修正している。

「30年を見据えていろいろとシミュレーションした結果、今の四輪事業の延長線では限界がある。ホンダ単独で生き残ることは非常に厳しいと判断した。そして、日々皆さんが努力している仕事が無駄にならず、次の時代のホンダの競争力につながるためには、経営統合が一つの選択肢として出てきた」

 統合交渉入りの発表会見から約3時間後、三部氏は社員向けのイントラネットでこう語りかけた。

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今年5月、赤字転落の決算記者会見を終え、会場を後にするホンダの三部敏宏社長(右) ©時事通信社

ホンダ自社株買いの覚悟

 日経が報道した12月18日の日産株はストップ高になり、ホンダ株は下落した。これは株式市場が、経営統合は業績悪化の日産をホンダが救済するためと見たからだ。

 統合交渉入りの発表と同時に、ホンダは最大で1兆1000億円、発行済株式数の約24%に当たる自社株買いを行うと発表。この額はネットキャッシュ(手元の現金から有利子負債を引いた額)の約3分の1に相当する。

「三部社長も自社株買いの規模には反対で、取締役会でも賛否両論が出たが、経営統合入りでさらに株価が下落することを恐れた藤村英司・最高財務責任者(CFO)が強く推し進めた」とホンダ関係者は話す。

 この自社株買いでホンダ株は翌日に14%上昇。業績不振の日産救済というイメージによる株価下落防止と、その日産と統合してもホンダの財務状況は安泰と、世間や市場に示す大きな効果があった。

 この巨額の自社株買いは、「結婚」に向けたホンダの覚悟と言える。日産もしっかりリストラをして覚悟を示せ、と迫っているのだ。

※約9200字の全文は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています(井上久男「日産“鈍感力”社長にいら立つホンダ“暴れ馬”社長」)。

文藝春秋

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日産“鈍感力”社長にいら立つホンダ“暴れ馬”社長
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