2026年の中間選挙を前に、アメリカ政界が揺れている。その火種となっているのが、世界中のVIPに未成年女性の性接待を行っていたとされる大富豪、ジェフリー・エプスタイン氏を巡る疑惑だ。

 2019年に拘置所で不審死を遂げた彼の“顧客リスト”を含む捜査資料、通称「エプスタイン文書」。トランプ大統領は選挙中、「当選したらすべてを暴く」と文書公開を公約していたが、いざ就任すると一転して公開に消極的になり、公開を求めた司法長官を更迭してしまったのだ。

「裏切り行為だ」と強硬保守派が激怒し、分裂の危機に陥りながらも、トランプ大統領がひた隠しにする“不都合な真実”とは何か。池上彰氏による『知らないと恥をかく世界の大問題17』(角川新書)の一部を抜粋し、アメリカ政界の闇を抜粋する。

ADVERTISEMENT

◆◆◆

エプスタイン疑惑でトランプ窮地

 2026年11月に実施されるアメリカ中間選挙に向けて、共和党内で警戒感が高まっています。共和党の中でも強硬な保守派としてトランプ氏を支えてきたマージョリー・テイラー・グリーン下院議員が2026年1月に辞職したのです。

 彼女は少女に対する性的人身売買の罪などで起訴され自殺したアメリカの富豪ジェフリー・エプスタイン氏の事件をめぐり、捜査資料の公開を強く求めていました。

写真はイメージ ©AFLO

 そもそもエプスタイン氏とは何者なのか。

 エプスタイン氏はニューヨーク出身で1982年に投資銀行を退社した後、投資会社「J・エプスタイン・カンパニー」を設立。成功を収め億万長者になりました。世界各地にマンションや不動産を所有するばかりかカリブ海に島まで持っていて、プライベートジェット機でいろいろな人を招待。そこに未成年女性たちを連れ込み、エプスタイン氏本人も女性に対する性行為をするだけでなく、世界中のVIPたちに性接待を行っていたというのです。

 これまで交友のあった人物としてトランプ大統領をはじめ、ビル・クリントン元大統領、イギリスのアンドリュー元王子など各界の有力者の名前が挙がり、それぞれどういう関係か不明ですが、各界の大物の辞任ラッシュになっています。