2025年、日本初の女性首相となった高市早苗氏。トランプ大統領の胸に飛び込んでハグをする姿や、「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」という言葉が新語・流行語大賞に選ばれるなど、その言動は常に賛否両論を巻き起こしている。

 中でも決定的だったのが、中国との関係悪化だ。2025年11月の国会答弁で、高市首相は「台湾有事」について、日本が武力行使できる「存立危機事態になりうる」と明言したのだ。

 歴代内閣が中国を刺激しないよう苦心して続けてきた「曖昧戦略」を、自分の言葉でぶち壊してしまった高市首相。現状日本が抱える外交問題の背景について、池上彰氏による『知らないと恥をかく世界の大問題17』(角川新書)の一部を抜粋して紹介する。

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それを言っちゃおしまいよ……

 2025年は、日本にも初の女性首相が誕生しました。自由民主党総裁に選出された高市早苗氏が決意を表明した際の言葉「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」は2025年の「現代用語の基礎知識」選T&D保険グループ新語・流行語大賞年間大賞に選ばれましたね。しかし長時間労働を美化するようなことを表明したことに、賛否の声があがりました。

 また、2025年10月28日には神奈川県のアメリカ海軍横須賀基地を訪問し、寄港中の原子力空母「ジョージ・ワシントン」上に立ち、アメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領の横ではしゃぐ映像が物議をかもしました。こちらも賛否が分かれました。さらに2026年3月に日米首脳会談が開かれた際、高市首相はトランプ大統領の胸に飛び込み、ハグをします。トランプ大統領の驚いた顔が印象的でした。「相手の懐に飛び込む」という言葉がありますが、まさにそれを実践したのですね。これも賛否両論でした。

 その一方で、中国(中華人民共和国)との関係は急激に悪化しています。そもそも高市氏は首相になる前から中国に対して強硬な発言を続けていましたから、首相になれば日中関係は悪化するだろうというのが大方の予想でした。

 それが決定的になったのは「それを言っちゃおしまいよ」ということを言ってしまったからです。2025年11月7日の衆議院予算委員会で、「台湾有事と存立危機事態の認定」を巡って答弁した内容がきっかけです。