「存立危機事態」とは何か?
「存立危機事態」という概念がわかりにくいですね。どんな状態を言うのか。これは安倍晋三政権が2015年に整備した「安保法制(平和安全法制)」に盛り込まれたものです。
そもそも中国と台湾の関係が悪化した場合、トランプ以前のアメリカの政権は必ず「台湾を助けに行く」と言っていました。中国が台湾に対して武力行使をするかもしれない。そのときはアメリカが「台湾関係法」という法律に基づいて台湾を助けに行く。その際はアメリカ本土から行くより台湾に近い日本の沖縄にいるアメリカ軍が行くことになります。
その場合、もしアメリカの船が攻撃を受けて沈んだり、死傷者が出たりしたら、日本は「専守防衛」なので黙って見ているのか。
日本と密接な関係にある国(つまりアメリカのこと)が攻撃を受けているときに日本が傍観していたら、日米間の信頼が破壊されて決定的に関係が悪くなります。それは日本にとって存立危機事態だ。というわけで、アメリカが介入して攻撃を受けたら、ほかに手段がない場合はアメリカ軍を助けて武力を行使しますよということにしたのです。
それまで日本の歴代内閣は「日本には国家として個別的自衛権も集団的自衛権も持っているが、憲法9条の規定により集団的自衛権は行使できない」という見解でした。日本が他国から侵略されたら、個別的自衛権で自国を守るために軍事力を行使してもOK。しかし日本は憲法で戦争を放棄していますから、たとえばアメリカが他国から攻撃されてもアメリカを守るために自衛隊が海外で武力行使をしたら、これは憲法違反になるという判断だったのです。ということは、アメリカ軍が他国から攻撃されても、見ているしかないという判断になるところでした。「それではまずいだろう」ということで安倍政権時に考え出されたのが「存立危機事態」という概念です。
