養子縁組案に潜む「三つの問題」
まず、当事者の意思です。養子になるご本人にその意思があるかどうかが最も大事なはずです。女性皇族にしても、結婚後は民間人になる前提で生きてこられたわけですから、皇族に留まりたいと思わない可能性もあります。ご本人が選択できるようにすべきなのです。
次に、男系男子にこだわるあまり、遠縁すぎる方が即位する場合、国民がどう見るか。1947年に皇籍離脱した旧11宮家は、男系を遡れば1300年代、600年以上前の崇光天皇に行き着く。男系男子の流れとしては実に20代前まで遡り、計算上、20代前の祖先は100万人にのぼります。直近の天皇本人から“100万分の1”を継ぐ血縁に過ぎません。果たして、その血をもって男系男子を引き継ぐというやり方が国民の理解を得られるでしょうか。
憲法第1条で規定されている「国民の総意」に基づくかどうか、衆議院法制局でさえ違憲か合憲か両論あると認めているのに、そのような案に踏み込んでしまってはいけない。天皇の問題についてこそ、立憲主義に立たなければなりません。
そして、次の世代の問題もあります。例えば養子縁組で入った方が結婚して男の子が生まれたら、皇位継承順位に入る。一方で愛子さまが民間の方と結婚されて皇籍を離脱し、お子様が生まれたとします。すると世間は間違いなく、「どちらが天皇にふさわしいか」という見方をするでしょう。それで果たして象徴天皇制が持つのか疑問です。
このように養子縁組案には懸念も多いのです。
やはり、議論の出発点に立ち返るべきです。まずは女性宮家を創設し、皇族として活動できる環境を整備すべきではないでしょうか。
