最新刊『部下としてのAI  世界一流エンジニアの進化術』が話題を呼ぶ、米マイクロソフトの現役エンジニア・牛尾剛さん。日々AIと格闘しながら生産性を「異常なレベル」まで引き上げてきた牛尾氏は、これからはすべてのビジネスパーソンに「AIマネジメント力」が必須だと説く。AIエージェントとどう付き合ったらいいのか? コツを聞いた。

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牛尾剛氏

「混乱するとたまに嘘をつく」新卒の東大生

――仕事で、生成AIをうまく使いこなすにはどうしたらいいのでしょうか。

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牛尾 まず前提として押さえておきたいのが、近年、劇的な進化をとげているAIエージェントは、“とびきり優秀な東大卒の新人”のようなもの。基本的にはめちゃくちゃ賢くて知識もありますが、社会人経験はないから、部署の業務内容は全く知らない。そして混乱してしまうとたまに嘘をつく――そんな特性があるんですね(笑)。

――面白いたとえですね!

牛尾 だから、彼らにうまいこと働いてもらおうと思ったら、自分の頭の中に入っているワークフローや成果物に求めるイメージを明確に言語化したり、いつでもAIが参照できる状態にする必要があるんです。

 仕事をするのに必要な内部情報や資料をきちんと与えておくと、彼らは爆速で、自律的に動いてくれます。人間の部下だって、必要な情報や暗黙知を伝えないまま「いい感じにやっといて」では、パフォーマンスが出ないでしょう?

――確かに。人間と同じなわけですね(笑)。

牛尾 あらゆるマネジメントは「相手を理解すること」こそ一番効率がいいものですが、生成AIもまた、仕組みの「理解」がすべてに先んじて重要になってきます。遠回りにみえて、実はそれが一番効率いい。

――具体的にはどういうことでしょう?

「メンタルモデル」で仕組みを把握する

牛尾 まず生成AIの「メンタルモデル」を持つことです。メンタルモデルとは「仕組みの内部イメージ」のことで、どういうメカニズムで動いているものなのか、入力から出力までの大まかな流れをつかんでおくと、どんな時にAIが混乱しやすいのかがわかります。

 例えば、今このAPI(アプリ同士をつなぐ接続の窓口)を叩いて、こんなレスポンスが返ってきて、AIモデルからこのツールを使うように指示が来て、ローカルのアプリがツールを動かして、その結果をまたLLMに投げているんだな……といった流れが分かっていると、的確にAIを動かしやすくなります。

 AIが混乱しはじめた時も「ここで矛盾が生じておかしくなっているのだろう」と原因の見当がつきます。知らなければ、「またAIが嘘をついたね」でまた同じ問題を繰り返してしまうかもしれません。

『部下としてのAI』より