牛尾 よく似た「スラッシュコマンド」も同様の仕組みです。スラッシュコマンドは明示的に人間が呼び出す、SkillsはAIが文脈で判断して自動的に呼び出すという違いがあって、後者はより大きなワークフローで使われることが多い、と区別するとよいでしょう。
例えば僕は、/plan-checklistというスラッシュコマンドを頻繁に使っています。これはAIが何かをやる前に「必ず計画を立て、チェックリストの手順にのっとって動いてくださいね」という指示です。
これがあると、途中でコンテキストが抜け落ちたり、AIが必要な作業をすっ飛ばして「ズルする」ことを防げるんです。このコマンドは、新著の特典でつけたGitHubリポジトリに入れておいたので、みなさんぜひご活用いただければと思います。
――新人もチェックリストがあると、仕事の漏れがないですよね。
AI用の資料は「手元の机に」
牛尾 そうなんです。あと有名なテクニックとして「ファイルに書き出す」のも、シンプルですが、AIという新人に「引き継ぎノートを渡す」という意味でとても有効です。
AIはその仕組み上、会話のヒストリーが増えていくとコンテキストのサイズを超えてしまい、会話を圧縮します。圧縮の過程で何かを忘れてしまうと、そこからわけのわからない動きをしてしまうんですね。
でも、重要なことをローカルのファイルに書き出しておけば、AIがなにか忘れても、すぐファイルを参照してもらえるので性能が出やすい。
さらに言うと、参照させたいリポジトリなどは主要なライブラリも含めてローカルのパソコン内にダウンロードしておくほうが、AIのパフォーマンスはぐっと上がります。ようは、仕事に必要な資料は「別館に見に行かせる」のではなく、「手元の机に用意しておく」ほうが部下の仕事ぶりがよくなる、というわけです(笑)。
このように、コンテキスト・マネジメントを上手に制する者が、AIという部下のポテンシャルをうまく引き出せるんです。ただしこれらのテクニックは、AIの進化が早いので、近い将来に不要になるかもしれませんが、どういう背景でこれらのテクニックが使われているかを理解していれば、将来解決したい内容に即して対応しやすくなりますね。