2025年6月14日、「僕の前立腺がんレポート」を連載中に亡くなった長田昭二さん。まもなく一周忌となる。今回は、長田さんのがんが「レアケース」であることが判明した第4回から一部を紹介します。

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あれもこれも「がんが原因」と疑ってしまう

 春ごろから左肩に鈍痛を感じていた。痛みの程度は日によって異なるのだが、つねに左肩から上腕部にかけて重くどんよりとした痛みがあり、ひどい日は首や耳の周囲あたりまで痛みが拡がったり、手の先がビリビリと痺れることもある。

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長田氏 ©文藝春秋

 一時は左手を高く挙げることが困難な時期もあった。洗濯物を物干しハンガーにぶら下げることが難しくなり、右手で物干しハンガーを一旦外し、ベッドの上で洗濯物を洗濯バサミに取り付け、完成した物干しハンガーを右手で物干し竿にぶら下げる――という窮余の策を編み出したりもした。

 五十肩だといいな……と思ってもみたが、五十肩は数年前に経験している。別件の取材のついでに整形外科医に何気なく訊いたところ、五十肩が再発する割合は低いという。そもそもかつて五十肩になったときに経験した痛みといまの痛みは、明らかにタイプが異なる。となると、がんが左肩周囲のどこかに転移して、それが神経を圧迫している、と考えるのが妥当なような気もする。がん患者というものは、何事も「悪いほう」へと考えが巡るものなのだ。

 ちょっと頭が痛いと「がんが脳に転移したんじゃないか」と考える。

 ちょっと咳き込むと「肺に転移したがんが大きくなっているんじゃないか」と考える。

 ちょっと落語がウケずに落ち込むと、「がんのせいでうつ病になったんじゃないか」と考える。

 とはいえ、肩の痛みはがんとの関連性を否定できないのも事実だ。はっきりさせるために、同院の整形外科でMRIによる撮影をしてもらった。結果は次回9月6日の外来で聞くことになっている。それまでは「ロキソニンテープ」を貼って凌ぐつもりだ。