遺伝子検査の結果が出た

 先月受けた、血液による遺伝子パネル検査の結果も出ていた。

 いくつかの遺伝子の変化が明らかになったが、その中で僕は、「PTEN(ピーテン)」という遺伝子が欠損していることが分かった。

神奈川県伊勢原市にある東海大学病院 ©文藝春秋

「PTENとは“がん抑制遺伝子”と呼ばれる遺伝子です。細胞は様々なシグナルを細胞内で伝達しながら、自分自身(細胞自身)の生死を制御しています。ところがPTEN遺伝子が欠損すると、がん細胞が自ら死んでいく“細胞死(アポトーシス)”を阻害する働きを持つ“AKTシグナル伝達経路”が活性化するため、がんにとって増殖しやすい環境が出来上がってしまうのです」(同大医学部腎臓泌尿器科・小路直准教授。以下同)

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 これまでいくつかの薬を使ったが思うような効果が得られなかったことも、これによって説明がつく。

 しかし、僕のようなPTEN遺伝子欠損の前立腺がん患者を対象とした治験が進行中であることも分かった。

 普通であれば、ドセタキセルという抗がん剤を使った化学療法が標準療法とされるのだが、これにカピバセルチブという抗がん剤を併用することで治療効果を高めることを証明する治験が行われているというのだ。

「カピバセルチブには、AKTシグナル伝達経路を阻害することで、がん細胞をアポトーシスへと誘導する作用があります。やってみる価値はあると思います」

小路医師 ©文藝春秋

 と語る小路医師は、前立腺がん患者でのPTEN遺伝子欠損は全体の3割程度とされるものの、実際には見つかる確率は低く、肌感覚としては「かなりレアなケース」と言う。

※長田昭二氏の本記事全文(6000字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています。全文では、下記の内容についても触れられています。
・三十数年ぶりに挑戦した屋形船での落語
・急上昇した腫瘍マーカー
・「治験」を受けるか否かに悩む

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