集めた情報を悪用して弱者を食い物にするシステム

 実は、こうした被害はこの件だけにとどまりません。同様の被害が日本各地で起こっています。つまり、この「街中の易者」が入り口となり、「祈禱師」につなぎ、高額な祈禱料を支払わせるという一連の流れは、組織的に作られたものなのです。

 では、入り口となる易者は、どのようにしてターゲットを見つけているのでしょうか。

 実は、彼らが属している団体は、易経をもとにした日本で最も古い占い流派の一つです。

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 知名度の高い流派なので、本や開運グッズなどを目にしたことがある人も多いかもしれません。大安や仏滅といった「六曜」を日本に広めたともいわれています。

 この団体は占いの流派の一つですが、その流派を名乗る団体は全国各地にあります。過去には、この団体の名前を使った宗教法人が業務停止命令を受けたこともありました。

 今回の高額祈禱被害の裏には、そんな古くからある占いの団体や、その周辺にいる情報提供者がいると考えられます。

 驚くべきことに、その団体の信者は全国各地の病院や不動産業者などにスタッフとして紛れ込んでいるといわれています。そして、彼らが個人情報を団体側に流すことで、「祈禱料を払うほど深刻な悩みを抱えた人」が事前に選別されているのです。

 信者からは住所などの情報も共有されます。易者はターゲットが日常的に通る道に占い屋を構え、偶然を装って声をかけます。信者たちから得た情報を使ってホットリーディングを行い、「なぜそこまでわかるのか」と相手に思わせ、信用をつかみます。

 十分に信頼関係が築かれたところで、易者は誠実さを装いながら、同じ団体に属する祈禱師へと引き継ぎます。こうして高額祈禱が売り込まれていくのです。

 しかし、この被害の恐ろしさは、高額祈禱の売り込みだけで終わりません。

 もしその後、最悪の結果になったら、祈禱師は意外にも被害者の自宅へ出向き、誠心誠意、謝罪するのだそうです。そして涙ながらにこう懺悔するのです。

「本当に申し訳ない。もっと早く出会えていれば、私の力で救えたかもしれなかったのに!」

 わが子の死に憔悴し切っている親を心配するフリをして、彼らはその後も関係を続けようとします。もちろん、ここで騙されたことに気づき被害を訴える親もいますが、一部の人はその後も関係を続けてしまいます。彼らも抜群の嗅覚で、その後も利用価値があるかを見極めていくのです。

 その結果、彼ら彼女らは祈禱師にますます依存し、やがて団体の信者へと変わってしまうのです。

 そう、この団体の本当の狙いは、高額祈禱だけではありません。お金と情報を集めてくれる「信者」を増やすことなのです。

 過去には、病気の子どもを持つ親に高額祈禱を契約させたケースや、水子供養をすれば病気が治ると持ちかけたケースが何度も裁判に発展していますが、そうした人生の深刻な局面にいる人々の弱みに付け込むやり口は、本当に悪質としか言いようがありません。

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