この原因は主に2つ考えられます。海の上で台風そのものが強くなっているか、または台風の海上での強さは変わっていないが、勢力が弱まらないまま北上して日本に上陸しているか。
海の上の台風の強さについては、昔のデータがないため謎のままです。しかし、勢力が弱まらずに上陸する台風が増えた可能性はあります。
そして、その原因のひとつは、地球の温暖化かもしれません。温暖化で海水が温まれば、台風の“ガソリン”である水蒸気も多く発生するからです。
ただ私は、温暖化で海水温がより高くなっているというよりも、海水温が上がった領域の緯度が上がっている、つまり、海面の高温域が北上しているのではないかと思っています。以前とくらべて日本近海の海面の温度が上昇したことで、台風が勢力を維持したまま上陸するようになっているのではないでしょうか。
台風から逃れられない
思えば2016年は特殊な年でした。8月、岩手県に初めて台風が上陸、豪雨により20人が亡くなりました。同月、北海道では1週間に3つの台風が上陸、そのさらに1週間後には4つ目が接近し、川が決壊したことにより大きな被害が出たのです。
これまで被害を受けなかった土地にも台風が上陸するようになり、また、そこでの勢力が弱まることもない。2016年、北海道、東北地方に上陸した大型台風は、環境の変化に伴うこういった変化の前兆と言えるのかもしれません。
もはや日本中どこに暮らしていても台風が襲ってくることを想定していなければなりません。伊勢湾級台風の東京上陸も、シミュレーションの世界だけの話ではなくなってきているのです。
きちんと警戒をしているところに強い台風が来るのと、まったく警戒していなかったところに弱い台風が来るのとでは、後者の方がその被害は大きくなることがあります。備えがない地域への台風襲来こそ、現代の台風における最大の脅威だと言えるでしょう。
※もしも、あの伊勢湾台風が現代の東京に上陸したら何が起きるのか? そのシミュレーション結果を約7100字の全文で解説しています。全文は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています(筆保弘徳「100万戸が被災 “最凶”台風が『東京』に上陸する」)。




