2025年6月、「僕の前立腺がんレポート」を連載中に亡くなった長田昭二さん。今回は長田さんが、化学療法を受けることを決意した第6回から一部を紹介します。
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11月1日から化学療法を受けることになった
この原稿が配信される11月1日(編集部注:2023年)、僕は神奈川県伊勢原市にある東海大学医学部付属病院に入院する。
これまでいろいろと理由を付けて逃げ回って来た化学療法だが、いよいよ逃げられなくなってしまったのだ。
いま、がんの化学療法に使われる薬は、大きく3つに分類される。
古い順に、殺細胞性抗がん薬、分子標的薬、そして免疫チェックポイント阻害薬の3種。
今回僕に使われる「ドセタキセル」という薬は、この中の殺細胞性抗がん薬に分類される。
基本的に3週間に一度の割合で静脈に点滴投与し、8回続けたら少し休んで次の薬に変更する。
次の薬も同じようなペースで投与し、効果が出ていないと判断された時点で「治療終了」となる。
これはあくまで延命治療なので、根治を目指すものではない。
また、効果や副作用の出方によっては治療を途中で中止することもあるので、8回のドセタキセル投与と、そのあとの薬の投与を合わせた期間の生存を保証するものでもない。
副作用を極度に恐がる僕としてはこの治療から逃げ出す気満々なので、実質的には「残り数カ月」あたりじゃないか、と睨んでいる。
主治医で東海大学医学部腎泌尿器科准教授の小路直医師にお願いしているのは、次の2点。
余命半年と判断したら速やかに伝えてほしい、ということ。
そして、「治療終了」から「身動きが取れなくなるまで」の間を、最低でも2~3カ月は残しておいてほしい――という2点だ。
僕の契約している生命保険は、余命半年の診断が下ると保険金が下りるタイプなので、そのお金を使って少しだけ贅沢しようと思っている。そのためには化学療法による副作用がない状態を残しておいてもらう必要があるのだ。
僕はどういうわけだか香港が大好きで、毎年1~2回は出かけてきた。でもお金がないので、国内の出張で貯めたマイレージを使ったり、時にはLCCで行くこともあった。
しかし最後くらいはフルサービスのエアラインで、ファーストクラスとは言わないまでも、せめてビジネスクラスくらいに乗りたい(片道だけでも)……と思っているのだ。何とも貧乏くさい野望だが、まあ仕方ない。生まれ変わったらファーストクラスに乗りますよ。

