タトゥーの周辺が賑やかだ。
「恐怖感や威圧感を覚える」という保守的な声がある一方、「タトゥーを排除するなんて国際社会に背を向ける行為だ」という革新勢力の意見もある。
何事も話し合いは大切だ。心行くまで議論してほしい。
今回は、文化の面からタトゥーを論じるつもりはない。
医学的な視点から、「タトゥーに伴うウイルス肝炎の危険性」に的を絞ったお話です。
りゅうちぇるの公表をきっかけにタトゥー論争
今回タトゥーが話題になったのは、タレントのりゅうちぇる(22)が妻と愛息の名前を腕に彫ったと公表したことが発端。
これをきっかけに、「タトゥーなんてヤクザの象徴だ」、「いや、海外では当たり前のファッションだ」、「プールや温泉で見たくない」、「公共の場で排除するほうが差別だ」と論争になったようだ。
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— 💙Prince Ryuchell💙 (@RYUZi33WORLD929) 2018年8月13日
個人的には、自分がこの人生でタトゥーを入れることはないと思うが、入れたい人は入れればいいとも思う。入れたら入れたで生活の上で色々と制限がかかるのだろうが、それでも入れたいという人は、堂々と入れればいい。法律違反じゃないんだから。
それより気になるのが、ウイルス肝炎のほうは大丈夫なのだろうか――という点だ。
今回の議論の中では、なぜかこの問題に触れる人が少ない。でも、タトゥーはウイルス肝炎を考える上で見逃すことのできない感染源であることは事実なのだ。
悪化すると肝硬変や肝がんを発症する危険性も
そもそもウイルス肝炎とは、肝炎ウイルスに感染することで起きる肝炎のこと。A型からE型までの5つに分類されるが、日本で見られるのは主としてB型肝炎とC型肝炎だ。
B型とC型(日本ではほとんど見つからないがD型も)に共通するのは、慢性化することがある、という点だ。
B型やC型の肝炎ウイルスに感染すると、急性肝炎を経て慢性肝炎に移行する可能性がある。そして、そのまま悪化すると肝硬変や肝がんを発症する危険性が高まる。
「その途中で自然に治ってしまうこともありますが、肝がんになる確率で見ると、健常者を“1”としたときに、B型肝炎キャリアの人が肝がんになる確率は380倍、C型肝炎キャリアに至っては1000倍というハイリスクとなる。そして、ひとたび肝硬変になってしまうと、肝がんになるリスクは健常者の4700倍に跳ね上がります」
と語るのは、元順天堂大学教授で現在は湘南東部総合病院院長、ウイルス肝炎研究財団理事長を務める市田隆文医師。
肝炎ウイルスを甘く見るのは危険なのだ。