「サナエに電話したんだよ」
「総裁選が終わった後、サナエに電話したんだよ。いい人なんだけど、仲間がいない。俺がやれることは、サナエの話を聞いてやることかな」
10月10日、大阪市内の和食店でビールを飲みながら傍らの女性にこう語る茂木の姿があった。この女性との関係は後述するが、茂木は彼女にこう続けたという。
「経産省からの秘書官は決まっているから(首相秘書官にすることは)無理だと言っていた。そしたら、官房長官になる予定の人から『イスを用意する』と連絡があったんだ」
高市政権が発足する11日前のことである。この日は、公明党が自民党との連立関係解消を表明した歴史的な1日でもあった。当初、高市は茂木を首相秘書官に抜擢しようとしたとされる。だが、首相秘書官は各省の事務次官候補が就き、官邸の意向を各省庁に下ろす結節点となる存在。年次的にも、経歴的にも茂木が就くことに経産省は抵抗し、エースである香山弘文・製造産業審議官を送り込んだ。調整の結果、茂木は内閣官房内閣審議官を兼任するかたちで、事務担当の内閣官房長官秘書官に就任した。だがこの起用にすら、霞が関では驚きの声が上がった。
「香山は、入省年次が茂木の3期下。序列に従えば、今年60歳を迎える茂木がその下の官房長官秘書官に起用されることはありえない」
しかし、茂木は高市が経産副大臣だった際に秘書官として仕え、以降も彼女の事務所に出入りすることが許された稀有な官僚だった。茂木にとって初となる官邸入りが、高市による一本釣りで実現したのだった。
以来、茂木は各省庁から派遣される官房長官秘書官の中で“首席”に位置づけられ、官邸記者によれば「記者会見やオフレコでの囲み取材の際、官房長官に最も近い位置で睨みを利かせる存在」だという。
高市が最も信頼する茂木とはいかなる人物なのか。それを知る1人の女性がいる。昨年10月、ほぼ誰も知ることのなかった官邸人事の秘密を明かされていた、あの女性だ。
昨年1月、茂木は万博の準備が進む大阪の地にいた。出張先での業務が終わり、1人居酒屋の暖簾をくぐった彼の目はカウンターにいたその女性に留まった。
「ここは何が美味しいですか?」
茂木は彼女にそう声をかけ、「万博の関係で大阪に来ている」と明かした。それが、関西在住の独身女性・A子との出会いだった。2人はすぐに意気投合し、連絡先を交換。A子は、茂木の左手の薬指に指輪がないことに気が付いた。帰りがけに彼女が茂木から手渡された名刺には、〈経済産業省 首席国際博覧会統括調整官〉の文字が並んでいた。
統括調整官として万博の職務に邁進する傍ら、茂木はA子とのつながりを深めていく。
※本記事の全文(5000字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2026年7月号に掲載されています(本誌編集部「最側近官僚は『公費で不倫出張』常習犯」)。全文では、茂木氏とA子さんのやり取りに加え、以下の内容も読むことができます。
・彼が宿泊するホテルで……
・不倫より大きな問題
・〈あのね、ここ官邸ね〉

