高市早苗首相(65)の夫で元農林水産副大臣の山本拓氏(73)は、昨年2月に脳梗塞を発症して療養中とされてきた。メディアでは、高市首相が仕事をしながら介護する「ワーキングケアラー」である可能性も報じられた。

 そんな山本氏が、ジャーナリスト・河野嘉誠氏のロングインタビューに応じ、自らの体調や高市首相の“ワーキングケアラー”説の真相を初めて明かした。「文藝春秋」6月号の2万字に及ぶインタビューの冒頭を紹介します。

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「消えたファースト・ジェントルマン」

〈河野さん 高市拓です〉

 高市早苗の夫・山本拓から、ショートメールが届いたのは、1月24日の午後10時24分のことだった。都内の飲食店で記者仲間と情報交換をしていた私は驚きつつも、すぐに〈明日、お電話させていただけますと幸いです〉と返信をした。

山本拓氏 Ⓒ時事通信社

 筆者は政治取材を専門とする34歳のジャーナリストである。ちょうど高市が電撃的な衆院解散に踏み切り、選挙の公示日まであと3日というタイミングだった。昨年12月に公開された高市の閣僚資産報告書に、拓の保有株の記載漏れがあることを発見し、高市事務所に質問状を送っていた。ただ、まさか拓本人から直接の連絡があるとは思ってもみなかった。

 日本初の女性総理の誕生により、パートナーである拓もまた日本初の“ファースト・ジェントルマン”になった。ただ、73歳の拓は昨年脳梗塞を発症して療養中とされ、メディアにはほとんど姿を現さない。昨年10月に報道陣の合同電話インタビューに応じたほか、11月の旭日大綬章受章時に地元紙に登場した程度。いわば「消えたファースト・ジェントルマン」なのだ。

 翌日、午前10時45分に電話をかけてみると、私の耳に飛び込んできたのは、ややしわがれながらも、思いのほか力強く、朗らかな声だった。

高市氏 Ⓒ時事通信社

「質問状をもらったけども、今、手が不自由なもんで、(文字を書くのが難しいため)電話で(回答を)失礼するけどね。口だけは相変わらず達者だよ(笑)」

「あなたフリーランスやろ?」

 筆者が質問状に書いた保有株の件は、「勘違いしていた。俺のほうから修正を出す」という話ですぐに終わった。その後も話題は絶えず、拓との電話は気がつくと1時間を超えた。公邸での暮らしぶりも率直に語った。

「建物の出入りが厳しくて、牢屋みたいやな。週1回、掃除をしてくれる人がきてくれるけど、料理人はいないから、食事は自分でやらないといけない。笑い話やけど、ピザを頼む時でも、配達員の名前を事前に聞いておかないといけなかったりな(笑)」

 その言葉の端々からは、妻への温かい眼差しが伝わってきた。