――確かに。2009年に再び野党に転落しても自民党が大きく崩れずに済んだのは、あの経験で党内に耐性がついた面はありますね。

 河野 初めて下野した時は、森幹事長の机に、毎朝どっさり離党届が山積みになったんですから(笑)。もしあのまま野党暮らしが1年続いていたら、自民党は取り返しのつかないことになっていたでしょう。

河野洋平氏 ©文藝春秋

人気だけで総裁にはなれない

 ――話は今年(2021年)9月の総裁選に戻りますが、「政治を変える」というスローガンを掲げ「次の首相にふさわしい政治家」の世論調査で5割近い支持を集めたのは、洋平さんのご子息である河野太郎さんでした。改革色の強い政策が議員の反発を招いた面もあるのでは?

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 河野 やはり既得権を守りたい人は多いですから、改革派というのはなかなか難しいですよ。それを乗り越えなければ改革はできない。例えば世代交代なんて、相当なエネルギーがないとできませんよ。「世代交代だ」と声を張り上げた程度では、進まないね。

 それでも今回の総裁選は、相当な改革のエネルギーが発揮されたと思いますよ。でも選挙というのはなかなか思うようにはいかないものでしょう。

河野洋平氏の息子である太郎氏(左)は、2021年の自民党総裁選で岸田文雄氏に敗北 ©JMPA 

 ――洋平さんの父・一郎さんは佐藤栄作さんと総理の座を争いながら、なれなかった。洋平さんも総理にはなれなかった。そして太郎さんが今、本格的に総裁を狙う位置にいる。官僚政治家とちがう反骨精神を漂わせる姿に国民の支持が集まる構図は、3代で共通点があります。父、自分、そして息子を見ていて、既視感のようなものはありますか?

 河野 あんまりそんなふうに考えたことはありません。しかし、皮相的な見方をすれば、国民的人気があれば総裁になれるかというと、そんな簡単なことではない。単純に人気だけなら田中真紀子さんが総裁になったかもしれない。橋本龍太郎さんの人気も大変高かったけれど、実際に橋本さんが総裁になったのは人気絶頂期ではなかったですし。

 どうも自民党という党内の力学は、国民的な待望論みたいなものとは若干違うんですよね。その良し悪しは別として、そういう党なんだから、その枠組みの中でどうやれば勝てるかっていうことを考える必要はある。

 ――ではズバリ太郎さんの敗因は何だと?

 河野 私にはわかりませんが、もう一つ、力がなかったということでしょう。選挙は競争ですから、相手にこちら以上の力があれば負ける。その力が「権力」の時もあるし、「金力」の時もある。それ以外に「経験力」とか、いろいろな力が作用するものです。

※この続きでは河野洋平氏に、息子・太郎氏へのアドバイスを訊ねています。約7000字の全文は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」でご覧いただけます(河野洋平「太郎は力がなかった」)。

文藝春秋

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「太郎は力がなかった」
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