5月15日に公開されるやいなやSNSのタイムラインを席巻した映画「機動警察パトレイバー EZY」。8月14日には「FILE2」の公開を控え、6月25日には小説「『機動警察パトレイバー』寿司屋の後藤」も発売されるなど時を超えたパトレイバーブームが再燃しています。

 今回は好評発売中の「週刊文春エンタ+ 特集『機動警察パトレイバー』」より出渕裕監督のインタビューを特別公開いたします。

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――『機動警察パトレイバー EZY』制作の経緯をお聞かせください。

出渕 じつは押井守監督の『THE NEXT GENERATION パトレイバー』より前に内々に新作の打診があったんです。バンダイの湯川淳プロデューサーからのお話だったんですが、制作会社J.C.STAFFの松倉友二プロデューサーがありがたいことに「出渕さんが監督を受けるならやる」と言ってくれたようです。伝聞なので本当かどうかはアレですが(笑)。

―― 『EZY』の体制と同じですね。

『機動警察パトレイバー EZY』で監督を務めた出渕裕氏 ©文藝春秋

出渕 ただ自分としては以前のシリーズで、ある程度やることをやりきったって感覚があったんですよ。それに、どうしてもレイバーが存続する未来を論理的には思い描けなくて。当時レイバーを存在させるための言い訳ガジェットだったバビロン・プロジェクトだって30年後には終わってるか頓挫してるかなわけで。改めて考えると酷い計画だしね、バビロン・プロジェクト。海面上昇のための大突堤計画で干拓地にするって、環境破壊もいいとこな計画で。バブル時代だからかろうじて成立した、いわば「とんち」ですよね、あれは。なので、需要がなくなって必要なくなったレイバーを回収するのが特車二課の仕事で、それが終わったら自分たちも必要なくなって、解体されるというお話を提案したら、即却下されました(笑)。

――そんな時に実写の話ですか。

出渕 そうそう、じつは僕は人づてに聞いていて知ってたんだけど、他のHEADGEARのメンバーは誰も知らなかった。みんな「聞いてないよ〜!?」って。小説書こうが、イラスト集を出そうが、マンガを描こうが、派生作品は「各人みんな好きにやっていいからね」って感じなんですが、映像は基幹だからコンセンサスを取るっていう約束だったんですけどね。そのへんの「各人が」、ってとこを曲解したりするんだよね、押井さん。自分に都合が悪いと記憶を改変するからなー(笑)。

『機動警察パトレイバー EZY』は、TVシリーズの35年後の世界を描く © HEADGEAR / 機動警察パトレイバー EZY製作委員会

――押井さんらしい。

出渕 同じ頃、HEADGEAR内部でも大きな変化がありました。もともとクリエイターは金勘定や権利問題に疎いのですが、「『パトレイバー』を眠らせるのはよくない」とジェンコの真木(太郎)さんが新体制にまとめてくれました。

――出渕監督は、『実写版』をどう見ていたんですか。

出渕 これは違うよな〜って(笑)。 だったらアニメーションで『パトレイバー』をちゃんと作り直したいよねという話が反動で立ち上がってくるわけです。脚本の伊藤和典さんも『パトレイバー』を終わらせたつもりだったし、ゆうきさんだってそうでしたが、でもこれで他のメンバーの意欲に火がついてしまったというわけですよ。そういう意味では、押井さんは『EZY』誕生の最大の功労者かもしれないよね。でも、こんなことを言うと、押井さんはドヤ顔で「だろ? 俺が『実写版』作ってよかったろ?」って言いそうだよね(笑)。